2011 Fiscal Year Annual Research Report
大学教員に求められる教育能力の質保証と大学教育資格の在り方に関する国際比較研究
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23330248
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
川島 啓二 国立教育政策研究所, 高等教育研究部, 総括研究官 (50224770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 かおり 新潟大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (80323997)
佐藤 浩章 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10346695)
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Keywords | 大学教育資格 / FD / 職能開発 / 大学教員の専門性 |
Research Abstract |
本研究は、大学教員に求められる教育能力は、いかなるものであり、どのようにしてその質保証が図られるべきなのか、高等教育研究において未だ本格的な取り組みに至っていないこの課題について、我が国のFDの実践的文脈において重ねられてきた知見・経験の分析や開発的研究の成果、また、その制度的形態(大学教育資格を持つ国と持たない国)に関わる海外諸国の実態や、大学教員の教育能力に関する基本的考え方に関わる知見の整理と分析、さらには、我が国の大学教員を対象とした、教育能力に関わるニーズ調査等によって、我が国高等教育にとっての重要課題である、大学教員の教育能力の在り方についての制度的展望を得ようとする試みである。平成23年度の活動として、海外調査については、アメリカ、イギリスへの現地調査を実施し、国ごとの概況と大学の事例を収集した。研究枠組の構成については、研究会を開催して、全体フレームの要素と構造について幾つかの案を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、大学教員の教育能力の質保証についての、制度的な将来展望を得るための、大学教育資格・大学教員要件に係る国際比較分析という実証的研究であり、また、知識基盤社会における大学教員の在り方を探る理論的研究であり、また、モデル構築のための抽出的構成という方法も採用する。異なったアプローチが同時並行しながら、研究目的の達成を目指すので、班構成を行って研究を進めることとしている。ただ、平成23年11月になってからの追加採択であったため、全般的に研究への着手に若干の遅れが出ている。海外調査については当初予定の調査がこなせていない。先行研究の検討と研究枠組の構築については、合宿研究会において集中的に進捗を図った。中でも、先行研究の分析については、広島大学グループの研究の進捗や日本高等教育学会課題研究での展開も見られ、関連する知見の蓄積も進みつつあるので、それらを遅滞なく取り入れながら、本研究の枠組の独創性と社会的意義の鮮明化に留意した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、海外研究者との積極的な交流と情報・知見の交換によって、今後の実践的な展開での飛躍を構想している。国際的なネットワーク形成にも着目し、ICED(International Consortium for Educational Development)に参加して、研究成果の発信や情報・知見の収集、海外研究者との意見交換に努める。そして、海外調査で得られた知見と、我が国における文脈とを絶えず突き合わせる視点を持ちながら、我が国における大学教育資格の在り方について展望を求める。ICEDは、イギリスのSEDA(Staff and Educational Development Association)やアメリカのPOD(Professional and Organizational Development in Higher Education)といった、英米における高等教育開発者のための専門家団体が参加する国際的連合団体であり、International Conference(代表者会議)は隔年開催、研究発表等が中心の研究大会は毎年開催となっている。我が国では、2009年9月に日本高等教育開発協会が結成されICEDに加盟している。本研究のメンバーの多くも加わっているので連携して研究を進める。
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