2011 Fiscal Year Annual Research Report
「ESD」にアプローチする「地域・世界遺産教育」の創造
Project/Area Number |
23330259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
田渕 五十生 福山市立大学, 教育学部, 教授 (10179864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 厚 奈良国立博物館, 学芸部, 学芸部長 (10167570)
池野 範男 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10151309)
草原 和博 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (40294269)
秋山 伸隆 県立広島大学, 人間文化学部, 教授 (60142337)
吉澤 悟 奈良国立博物館, 学芸部, 教育室長 (50393369)
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Keywords | ESD / 世界遺産教育 / 地域遺産教育 / 持続発展教育 / 地域・世界遺産教育 / 持続可能開発のための教育 |
Research Abstract |
本年度に成果は次の3点である。 一つは、日本の16の世界遺産サイトに研究協力者を派遣して、それぞれの世界遺産センターの学芸員や専門家及び地域のボランティアガイドなどに依頼をして、それぞれの世界遺産をめぐる「物語=秘話」を聞くことができた。たとえば日光であるが、幕末の維新戦争で焼失の危機があった。幕府軍と「官軍」の間で戦端が開かれかけた。けれども、「官軍」の板垣退助と幕府軍の大鳥圭介との間で休戦交渉がまとまり、戦禍を免れた。そのような経緯で、日光東照宮の参道には板垣退助の銅像が建立されている。無血開城は、江戸城だけではなかったのである。このような「秘話」は世界遺産を守った人々として教材作成の重要な要素になる。また、教材キットの作成では写真の著作権問題が起こるが、今回の研究協力者が撮影した写真については、正当な使用権を持つことができた。 二つは、ポーランドの世界遺産サイトである、「アウシュビッツ・ビルケナウのナチス・ドイツの強制絶滅収容所」を訪問して「記憶にとどめるべき遺産」の典型として「原爆ドーム」と比較する教材視点を得ることができた。さらに、「バエティカの岩塩鉱山」も訪問して、日本の世界遺産である石見銀山で働いた人々に共通する信仰心の深さが理解できた。 三つは、「地域・世界遺産教育」の視点から、研究代表者の田渕が福山駅前の「岡倉天心像」を通して、天心が日本の伝統文化を守り、"The Book of Tea"(『茶の本』)を通して、世界に日本文化を発信した教材開発の基礎になる「核心」を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回のプロジェクトの最終-ゴールは、日本の全ての世界遺産についての教材キットを作成することであるが、研究代表者、分担研究者、研究協力者がすべての世界遺産サイト(小笠原諸島や平泉も含む)の直接訪問を終了して、教材キットの「本文解説」と映像を収集できた。また、海外取材でもアウシュビッツやモンサンミッシェルなど原爆ドームと宮島(厳島)と比較する材料を入手できた。したがって、これからはその編集作業を行い、次年度はパイロット実践の準備ができたので、おおむね予定度どおりに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、世界遺産サイトで直接入手した素材をもとに、教材キットの作成を目指す。昨年度、日本におけるすべての世界遺産の教材化に必要な材料を整理して、次の4点の視点から教材化を志向する。(1)平和・人権、(2)文化の多様性、(3)生物の多様性、(4)人間的なつながり・連携の4つの視点である。その際、海外の典型事例を求めたいと考えている。たとえば小笠原諸島とガラパゴス諸島、原爆ドームとアウシュビッツなどである。また、地域の文化遺産の教材化の視点を明確に示したい。
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Research Products
(4 results)