2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23330271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
東條 吉邦 茨城大学, 教育学部, 教授 (00132720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 英靖 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30332547)
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30302318)
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
初塚 眞喜子 相愛大学, 人文学部, 教授 (10300211)
三浦 優生 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (40612320)
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Keywords | 自閉症 / 不安 / 教育的支援 / 認知科学 / 東日本大震災 / 臨床発達心理学 |
Research Abstract |
1, 不安感・安心感に関する実態調査項目の作成とアンケート調査の実施 初年度の研究の開始直前に東日本大震災が起き、余震・津波・原発事故は、自閉症児だけでなく多数の人々の不安感を強く喚起した。そこで本年度は、被災地に住む自閉症児を含む障害児とその家族を対象に、東日本大震災直後と大震災から半年後の不安感を中心に調査項目を作成してアンケート調査を実施した。その結果、余震に対する不安感は定型発達児より障害児、とくに自閉症児で強いだけでなく、不安感が持続する傾向が認められた。また原発事故の不安感は定型発達児のほうが強いこと、保護者の不安感と自閉症児の不安感には相関があることなどが分かった。 2, 不安感・安心感に関する生理心理学的・認知心理学的検討 研究分担者・連携研究者・研究協力者の所属する研究機関での脳波測定、脳磁図測定、NIRS計測、視線測定などの生理心理学的・認知心理学的技法の適用場面において、対象児・者に不安を与えないための様々な工夫に関する検討を行った。また、視線追跡装置を用い、対象者の注視の様子や瞬目の状況などを測定し、不安感を喚起しやすい事象の特徴に関する予備的検討を開始した。 3. 教育現場における安心感を与える支援のあり方に関する検討 武蔵野東学園および茨城県内の学校教員を対象に聴き取り調査および学校訪問を実施し、教育現場における安心感を育てる自閉症児教育のあり方に関する検討を行った。 4. 不安感に関する臨床発達心理学的検討 療育機関・相談機関職員への聴き取り調査を実施し、とくに初回面接時やアセスメント実施時に強い不安を与える介入が行われがちである実態が明らかになった。自閉症児に不安を与えない支援を実現するためには、面接やアセスメントの技法面の改善だけでなく、施設・制度・人権といった視点からの検討も必要なことが判明したので、今後、それらの研究にも着手することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の研究の開始直前に起きた東日本大震災によって茨城県は被災地となり、研究室も被害を受け、その復旧に予想以上の時間を要した。また当初は交付決定額の7割の入金であったため、初年度の9月に導入予定であった550万円の備品の購入の目途が一時立たなくなり、研究計画の変更に関する検討も始めた。その後、全額が交付され、1月になって備品の納品が完了した。これらの理由により5か月ほど研究の進行が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
「自閉症児に不安を与えない支援のあり方の検討」が研究課題であるが、東日本大震災直後、極度な不安感のために自閉症児がパニックとなり、避難所を利用できずに自家用車内で生活するなどの実際例が被災地で多発し、こうした方面の検討にも取り組みたいと考え、研究計画の一部を変更した。具体的には、災害などによる、自閉症児をはじめとした子どもに与える不安を小さくする支援のあり方の検討や、施設面・制度面などの改善への提言も視野に入れた認知科学的研究および臨床心理学的研究を推進していく予定である。
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Research Products
(3 results)