2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮岡 礼子 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70108182)
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Keywords | 可積分幾何 / 超曲面 / モーメント写像 / エントロピー / tt*幾何 / スペシャル幾何 / 離散化 / 可視化 |
Research Abstract |
当初の計画として,(I)曲線論・(超)曲面論,(II)可積分系と呼ばれる様々な偏微分方程式,(III)多重調和写像を背景にもつtt*幾何をテーマとした. (I)については,1.主曲率の個数6,重複度2の等径超曲面は例外群$G_2$の軌道で与えられる事を示し,Dorfmeister-Neher予想と,Yauの問題の解決を与えた.2.4次のCartan-M\"unzner多項式をすべて運動量写像のノルムの自乗を用いて表した.特に,clifford環の表現から構成されるOT-FKM型多項式の場合にはスピン作用の運動量写像で表されることを示した.3.任意の完備リーマン多様体状のトランスノーマル関数という等径関数より弱い関数の等位面のみたす性質が,かなりの場合,等径関数で満たされる性質を既に満たしている事を示しすことができた.4.例外群G2の軌道を幾何学的に特徴付け,二つの特異軌道はBryantによる,ある対称空間のtwistor空間と微分同相であり,それらを連続的につなぐものが主軌道であることを示した.更に主軌道は6次元球面上のフラッグ SU(3)/T^2をファイバーにもつケーラーファイバー束構造を持ち,また各点を通り2径数のラグランジアン部分多様体が存在すること,このケーラーファイバー束構造は特異軌道にも伸びることなどを示した. (II)に関しては,梶原健司,松浦望らが平面曲線に関して,離散曲線の離散運動の理論を構築した.また岩崎克則によりバンルヴェ力学系の古典軌道の回りでのカオス性の研究などが行われるなど,可積分系方程式の解の挙動やモデュライの研究が従来とは異なる方向で行われている. (III)に関しては,Martin Guest, Wayne Rossmanによるtt*幾何と曲面論の結びつきのほかFrobenius多様体論,KdVヒエラルヒーと量子コホモロジーの関係などが論じられている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Iの1に関しては論文も受諾され,2に関しても高い評価の査読をもらい,最終稿を提出しているので近く受諾される.3も既に投稿済みで研究は計画以上に進展している.3は出版済みである. IIに関しては梶原の論文は出版済み,さらに,最近平均曲率流の相似解に関する研究が新しく,スペシャル幾何と関連して二木が活発に研究している事から,可積分系とは限らないが,フローの研究発展は著しい. IIIに関しては,Martin Guest, Wayne Rossmanのtt*幾何の発展に加え,入谷寛の活躍も目覚ましく,ミラー対称性と量子コホモロジーの研究が進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
Iに関しては,今後は超曲面の離散化,スペシャル幾何との関係,複素化による複素シンプレクティック構造との関係などの観点から可積分系幾何を深める. II,IIIに関しては,可積分系に付随するヒエラルヒーが離散的ではなく,連続的に現れる状況が近年研究されるようになり,CohFT(Cohomology Field Theory)という分野に発展しているようである.Givental群という無限ループ群作用,Dubrovin-Zhangによる理論の進展があり,興味深い.tt*幾何及びFrobenius多様体論もこれらに深く関係しているので引き続き研究する.
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Research Products
(6 results)