2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23340079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
土屋 清澄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器科学支援センター, シニアフェロー (20044787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増澤 美佳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (10290850)
菊池 章弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主幹研究員 (50343877)
多和田 正文 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 准教授 (30300677)
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Keywords | 加速器 / 超伝導材料 / 超伝導マグネット / Nb3Al線材 |
Research Abstract |
Nb3Al高磁場超伝導磁石用の大電流Nb3Alケーブルの検討・開発を進めた。その具体的内容は以下の通りである。1)本研究の最終年度に試作を予定しているミラー型四極磁石の検討を米国フェルミ加速器研究所の担当者と協力して行い、そこで必要となる超伝導ケーブルの仕様(0.7φx28本のラザフォードケーブル)を固めた。2)ケーブル製作に必要となるNb3Al素線径が、従来の線材製作で経験のある寸法より細くなったため、Nb3Al線の細線化方法の検討・開発を所有のNb3Al線材を用いて進めた。試験線材をダイス加工により徐々に細線化して、安定化銅の付着性、線材断面の変化(銅比の変化)、電流密度の変化などを詳細に調べた。その結果、開発を進めてきた線材の安定化銅はダイス伸線に耐える付着強度を有すること、また、伸線による超伝導特性の劣化も生じないことが明らかとなった。これにより、従来の線材製作の主要工程を変えることなく、銅安定化されたNb3Al線材を細線化する方法が決まり、ミラー型四極磁石用Nb3Alケーブルの製作の目処がたった。3)Nb3Al線材の製伶性の向上を目指した研究では、フィラメント間の密着性改善を目的に、シングルフィラメントの六角ダイス成形工程を導入した前駆体製作を試みたが、その結果は芳しくなかった。従来の製作法による前駆体線材断面の顕微鏡観察で随所にみられた六角フィラメント形状の乱れやTaバリアー厚の不均一が、前駆体伸線工程での断線を引き起こすのではないかという推測に基づくものであったが、断線が多発し、この工程の導入により線材断線を防ぐことは出来ないことが明らかとなった。断線多発の原因については、現在、調査中である。無断線製造技術は、将来の実用機磁石では必要不可欠なものであるため、今後も開発努力を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高磁場Nb3Al超伝導磁石用の大電流ケーブルの開発で必要となる線材の細線化技術の検討・開発は順調に進んだ。長尺線材製造技術の開発では、素材であるTa箔の純度や機械特性のコントロールが十分でなかったためか、製造過程における断線を抑えることが出来なかった。然し乍ら、本研究の目的であるミラー型磁石の試作に必要となる程度のケーブル製作は、長尺線材製造技術が未熟でも、細線化技術を確立することが出来たので、問題なく行える見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、Nb3Al線材の長尺無断線製造は困難であるが、計画したミラー型超伝導四極磁石の試作に必要となる程度の線材製造技術はほぼ確立できたので、その超伝導ケーブルの製作を進める。平成24年度末までに磁石製作に必要となる超伝導ケーブルを準備し、平成25年度には米国フェルミ加速器研究所と協力してミラー型超伝導四極磁石の開発・試作を行う予定である。
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