2011 Fiscal Year Annual Research Report
籠状構造を有する希土類希薄化合物に普遍的な特性と充填スクッテルダイトの固有特性
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23340107
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 英行 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (80106608)
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Keywords | 充填スクッテルダイト / 強相関電子系 / 高圧合成 / ラットリング / 重い電子 |
Research Abstract |
充填スクッテルダイトにより示された「籠構造に希土類を内包させてc-f混成効果を増強し、新奇特性を鳩限させる」可能性を、より広い結晶系で検証する計画の初年度として、以下の二つの計画を並列に進めた。 (1)基準となる充填スクッテルダイト系の系統的・総合的な理解を更に深めるため、純良単結晶による評価が実現していない、Ce、Pr、Sm、Yb基充填スクッテルダイトの純良単結晶を育成し基礎物性の評価を行なうとともに、重要な特性の機構の解明が残されたカギとなる物質の理解を深めるため、試料の純良化・測定・解析を行った。前者の例として、定圧下フラックス法による単結晶と高圧下多結晶で電気的特性に大きな矛盾があったCeFe_4As_<12>について、高圧下フラックス法で育成した単結晶試料での特性評価を行った。後者の例は重要物質PrFe_4P_<12>において特定の磁場方位の高磁場中でのみ現れる新たな相の秩序変数の決定であり、より低温・強磁場までの電子輸送効果の測定により、変数の絞り込みに成功した。 (2)希土類が希薄で籠構造を持つ、他の物質系(RT_2Al_<20>,RAu_3Al_7:R=希土類元素、T=線金属元素)について、特異な振舞いが期待されるR=Pr、Sm、Yb基に重点を置いて単結晶育成を行った。RT_2Al_<20>については、Pr、Sm系ともに、期待通りに強いc-f混成効果を示唆する近藤効果的な振舞いや、磁場に強い秩序状態の存在を見出した。SmAu_3Al_7はSmT_2Al_<20>系とほぼ同様な温度で磁気秩序を起こすことを確認した。しかし、前者ではc-f混成効果小さいことが分かり、参照物質の物性を考慮した評価が必要となったが、最近、誰も成功していない参照物質LaAu_3Al_7の単結晶育成にも成功し、籠状物質の類似性と普遍性を整理する段階に近づいたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不完全であった、結晶育成の困難さなどから、欠けていた充填スクッテルダイトの系統的な理解に必要なピースが着実に揃ってきており、籠構造を持つ幾つかの希土類化合物の物性評価も進展している。既に着手した化合物系の物性評価と並行して、新たな希薄希土類籠状化合物の探索を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
充填スクッテルダイト試料のうちの欠けている重要(と思われる)YbRu_4P_<12>、SmRu_4Sb_<12>系については、結晶作製に成功していない。3元系化合物の結晶育成は論理だけで、計算通りにはいかず、丹念な条件探し行った上での偶然が成功に導く場合が多い。温度勾配を大きく制御できるフラックス法用の炉を用意したので、次年度にも引き続き育成に挑戦する。 既に着手した化合物系の物性評価と並行して、希土類の希薄性と結晶の対称性を配慮して、新たな希土類籠状化合物を対象として、c-f混成効果を表す系の探索を続ける。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Strong Effect of Yb Filling Fraction on the Magnetic Ground Sate of the Filled Skutterudite YbFe_4Sb_<12>2011
Author(s)
T. Saito, H. Sato, K. Tanaka, S. Tatsuoka, M. Ueda, R. Higashinaka, T. Namiki, Y. Aoki, Y. Utsumi, K. Kuwahara, and T. Hosoya
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Journal Title
J. Phys. Soc. Jpn
Volume: 80
Pages: 063708
DOI
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