2012 Fiscal Year Annual Research Report
弾性波アクロスによる桜島火山のマグマ動的変化の検出とその要因に関する研究
Project/Area Number |
23340130
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
宮町 宏樹 鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (30182041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三ヶ田 均 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10239197)
竹中 博士 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30253397)
清水 洋 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50178985)
渡辺 俊樹 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50210935)
井口 正人 京都大学, 防災研究所, 教授 (60144391)
八木原 寛 鹿児島大学, 理工学研究科, 助教 (60295235)
山岡 耕春 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70183118)
為栗 健 京都大学, 防災研究所, 助教 (70335222)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アクロス / 火山 / 桜島 / 構造 / マグマ |
Research Abstract |
(1)アクロスの連続稼働と信号解析:H23年度に設置した弾性波アクロスによる人工振動の試験運転を行った.また,アクロス装置の稼働状態の監視のため,監視カメラを設置し,装置の映像を定期的に配信する環境を設置した.さらに,ネットワークを経由し,アクロス装置を遠隔操作できるようにシステムを改善し,アクロスの安定した連続運転の安定性を確保した.9月から,信号周波数5Hz~15Hzの帯域で定常的に本格的に発振を開始し,既設地震観測網および臨時観測園による観測を開始した.観測データから桜島内の各観測点の伝達関数を求め,その時間的変化を求めた.その結果,一般的傾向として,地殻浅部(深さ3km以浅)を伝搬していると考えられるP波やS波の初動部分の伝達関数の振幅時間変化はほとんど無く,一方,S波以降の後続波の振幅時間変化が顕著であることがわかった.さらに,変化した振幅も,時間とともに変動することが検出された. (2)地下構造モデルに基づく波動の理論的推定:2008年に桜島で実施された火山体構造探査(人工地震実験)走時データによる二次元P波速度構造および自然地震の走時データを用いた姶良カルデラの三次元P波およびS波速度構造を推定した.これらの解析結果に基づき,桜島火山および姶良カルデラの地下構造モデルを推測した.今後,このモデルを用いた波動シミュレーションを行い,正確な波線経路を求める. (3)海底地震計によるアクロス観測:2012年12月10日~2013年3月10日の期間,姶良カルデラの海域に海底地震計を設置した.これらのデータの解析を今後進める.また,2012年9月20日より,桜島内の既設観測点の空隙を埋めるため,陸域に4地点の臨時地震観測点を配置した.得られたデータの処理により,既設観測点と同様に,伝達関数とその時間的変化を推定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遠隔操作環境の設置後,アクロスの安定した連続運転が可能となり,観測データの順調な蓄積が継続されている.2012年9月19日以降のデータにより,観測点毎の伝達関数の変動が明瞭に確認されている.数値波動シミュレーションが実施されていないが,その基盤となる構造モデルが推定された.
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Strategy for Future Research Activity |
アクロスの安定した稼働により,伝達関数の推定が可能となり,伝達関数の長期的な時間変化を明らかにする.また,時間変化を示す波群の波線経路をモデル計算から推定し,時間変化の起源となっている領域の推定を行う.
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