2012 Fiscal Year Annual Research Report
海溝型地震の最大規模予測に向けた付加体発達過程での3次元不安定性問題の解明
Project/Area Number |
23340134
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
堀 高峰 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 主任研究員 (00359176)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阪口 秀 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, プログラムディレクター (10235145)
山田 泰広 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20362444)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 均質化 |
Research Abstract |
アナログ実験については、昨年度当初予定していた装置作成を完了したが、予備実験の結果、ベルトコンベイヤーの使用が波形構造形成に影響することが明らかになり、砂箱自体を移動する新たな実験設定を考案した。そのように装置を改良して実験を行った結果、初期の砂の敷き方が当初の予想以上に結果に大きく影響することが判明した。そのため今年度は、まず砂をできるだけ均質に敷くための手段を見いだすこととした。 様々な検討の結果、箱全体を覆うふるい、ならびに、自動開閉装置付きの移動式ホッパーの導入等を行なった。その結果、従来の同種の実験と比較して格段に再現性の高い装置を作成することに成功した。この改良した実験装置を用いた実験の結果、かなり均質に砂を敷くことが可能となった。均質化にとって、人手をできるだけ避けて自動化することの有効性が確認できたため、砂を敷いた後に表面をならす装置の自動化のための設計も行った。 均質に砂を敷くことが可能になった結果、下盤の移動に直交する方向に非常に直線性の高い断層が、幅広(1m)の箱の端から端まで一気に形成され得ることが判明した。この断層形成時の破壊の進展速度は、従来のそれに比べて桁違いに大きく、弾性波速度に近いものと考えられる。 さらに、実験の中での詳細な観察により、断層形成の予兆的現象とも考えられる不規則な振動(事前に発生を予想していた)が表面に現れることを見いだした。また、この現象の詳細を観察するための装置の設計を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定以上に砂を均質に敷くことが結果に影響すること、また従来の装置や砂の敷き方では均質に敷くことが困難であり、かなりの装置改良が必要であったことにより、実験をするための準備段階にかなりの時間を割くことになってしまった。 しかしながら、結果的に均質化に成功し、従来の装置では見られなかった非常に直線性の高い断層形成過程を見いだすことにも成功したので、当初の計画からはやや遅れているように見えるものの、来年度で挽回することが可能と考えている。 さらに、断層形成前の予兆的な変化も見いだせていることから、当初の計画以上の成果も期待できると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
付加体形成過程における3次元的な形状の発達とその決定要因のまとめを行うため、まず均質化をさらに高めるための砂の表面をならす装置の自動化を完成させる。その上で、層厚や壁の形状等の条件を変えた複数回の実験を行ない、付加体形成過程における3次元的な形状発達を調べる。また、直線性の高い断層形成時の破壊伝播を正確に測定し、破壊伝播の特性を明らかにする。そして、実験結果ならびに3次元数値実験にもとづいて、3次元的な形状発達を支配する要因を抽出する。さらに、断層形成の予兆的現象となる不規則振動の詳細観察のための装置の改良を行い、実験を行う。
|