2013 Fiscal Year Annual Research Report
全大気統合モデルを用いた温室効果ガス増加による超高層大気長期変動の研究
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23340149
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三好 勉信 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20243884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
品川 裕之 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究所宇宙環境インフォマティクス研究室, 主任研究員 (00262915)
藤原 均 成蹊大学, 理工学部, 教授 (50298741)
陣 英克 独立行政法人情報通信研究機構, 電磁波計測研究所宇宙環境インフォマティクス研究室, 主任研究員 (60466240)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱圏・電離圏 / 地球環境変動 / 寒冷化 / 数値シミュレーション / 長期変動予測 |
Research Abstract |
人為起源の二酸化炭素濃度増加が熱圏・電離圏に及ぼす影響を,我々の研究グループで開発した大気圏―電離圏統合モデル(GAIA)を用いて定量的に調べてみた。昨年度までの研究から,成層圏突然昇温の有無が熱圏の平均温度に大きく影響することが明らかになったことを踏まえ,下層大気の年々変動(大気波動の活動度変動)をより詳しく解析したうえで,二酸化炭素濃度変動の影響を見積もることにした。まず,二酸化炭素濃度を固定したうえで,1998年から2013年までの下層大気部分に再解析データを入力した計算をGAIAにより実行した。数値シミュレーション結果を,大気潮汐波や惑星波の年々変動に注目して解析を行った。その結果,熱圏領域において,太陽非同期潮汐波の年々変動の影響は,想像していた以上に大きく,超高層大気の長期変動を調べる際には,十分に注意する必要があることが分かった。以上の結果を踏まえ,二酸化炭素濃度に伴う長期変動か下層大気起源の大気波動の活動度変動に伴う影響なのかをより明確にしたうえで,太陽極小期における二酸化炭素濃度の増加が熱圏大気の年々変動に及ぼす影響を見積もった。定量的な見積もりを正確に行うためには,更なる解析が必要であり,平成26年度も引き続き解析を続けることになった。 また,昨年度に引き続き,下層大気起源の潮汐波に伴う熱圏・電離圏の潮汐振動の季節変化についても衛星観測結果(SABERなど)と比較検討を行った。本年度は太陽非同期の潮汐波について比較を行い,おおむねGAIAモデルが太陽非同期潮汐波をよく再現できるという結果を得た。さらに,超高層大気では,地磁気活動などの影響を強く受けることが知られているので,地磁気活動変動を定量的に見積もるための数値モデルの改良を昨年度に引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期間(1998年から2013年まで)の長期間の数値シミュレーションを実行した。これらの結果を解析することにより,これまで考えられていた以上に,超高層大気が下層大気の影響(特に大気波動変動の影響)を受けることが示された。この結果は,今後の長期変動を見積もる上で参考にすべき結果であると考えられる。また,シミュレーション結果と衛星観測結果の比較に関する比較も引き続き行い,本モデルが観測結果を十分に再現できることも確認できた。これらの結果に基づき,二酸化炭素増加に伴う超高層大気変動の見積もりや大気潮汐波の年々変動に伴う熱圏変動などについて,学会などで広く発表することができた。特に,CAWSES-IIやIAGAといった当該分野では比較的規模の大きな国際会議で研究成果が発表できた意義は大きい。さらに,国際会議で4件もの招待講演を行ったのも意義深い。また,より高水平分解能モデルを用いたより精度の高い数値モデル(GAIA)の開発にも着手し,高分解能版GAIAによる数値シミュレーショにめどが立ったことは,今後の研究を進める上で非常な前進であると考えられる。一方,平成25年度中に予定していた1950-70年代のシミュレーションについては,採用する再解析データの取得・整備が遅れたため,平成26年度以降に行うことにした。このようにおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に実施した,再解析データを全大気統合モデルの下層大気部分に入力した計算結果についての更なる解析を行い,年々変動の影響と二酸化炭素濃度変動の影響に関して定量的見積もりを引き続き行う。平成25年度までの解析結果から,下層大気起源の大気潮汐波や惑星波の年々変動が熱圏の年々変動に大きく影響することが明らかになったことを踏まえ,下層大気の年々変動(大気波動の活動度変動)をより詳しく解析したうえで,二酸化炭素濃度変動の影響を見積もる。その際,二酸化炭素濃度に伴う長期変動の影響をより明確にするために,2000年代の下層大気の再解析データ入力に,様々な二酸化炭素濃度を入力した“仮想実験”などを,引き続き適宜行うことで,より明瞭に二酸化炭素濃度増加に起因する熱圏大気変動の抽出ができるよう工夫する。その際,昨年度までに行った,地磁気活動に伴う超高層大気変動の見積もり結果を参考にして,地磁気活動度変動に伴う超高層大気変動の影響についても,より正確な見積もりを実施したうえで,下層大気起源の熱圏変動や,二酸化炭素濃度増加に伴う熱圏変動との区別が可能になるよう工夫する。 また,平成25年度に開発のめどが立った高水平分解能版のGAIAを用いた計算も実施し,水平分解能が異なる二つのGAIAモデルでの数値シミュレーション結果の違いについての検討を行う。
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[Journal Article] The neutral dynamics during the 2009 sudden stratosphere warming simulated by different whole atmosphere models2014
Author(s)
Pedatella, N. M., T. Fuller-Rowell, H. Wang, H. Jin, Y.Miyoshi, H. Fujiwara, H. Shinagawa, H.-L. Liu, F. Sassi, H. Schmidt, V.Matthias, and L. Goncharenko
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Journal Title
Journal of Geophysical Research
Volume: 119
Pages: 1306-1324
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Space Weather Simulation at NICT2013
Author(s)
Shinagawa, H., H. Jin, Y. Kubo, M. Den, Y. Kubota, T. Tanaka, S. Fujita, Y. Miyoshi, and H. Fujiwara
Organizer
Asia Oceania Geosciences Society 10th Annual Meeting
Place of Presentation
Brisbane Convention & Exhibition Centre, Australia
Year and Date
20130624-20130628
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