2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドアンビルセルNMRによる地球惑星内部の水素系物質の高圧その場観察
Project/Area Number |
23340161
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
奥地 拓生 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (40303599)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 重雄 岐阜大学, 工学部, 教授 (30196159)
芳野 極 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 准教授 (30423338)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | NMR / 水素 / 高圧力 |
Research Abstract |
地球型惑星、氷惑星、氷衛星の形成と進化の過程の理解において、それらの天体をつくる鉱物、氷、ガスハイドレートに含まれる水素の物理化学的性質の研究は本質的である。水素は最も拡散が速い元素であり、また水素結合をつくることから、その挙動には他の元素にない特異性がある。鉱物中の水素は、微小な拡散によって鉱物の塑性変形を助け、マントルの流動を促進させる。また氷やガスハイドレートの粘性や電気抵抗が、高圧下で低下する場合があるが、これは圧縮により水素結合が変化して、水素の拡散が容易になるためだと考えられる。以上の物質の水素の化学結合状態とダイナミクスを高圧力下その場で調べるために、これまでに独自に開発してきたダイヤモンドアンビルセルNMR法の応用を進めている。 本年度は、これまでに開発を進めてきた、サファイアアンビルを用いた大容量の高圧発生技術を応用した研究成果を新たに得た。具体的には、NMRと同様に大容量の試料体積が必要である中性子粉末回折法について、メタンハイドレートの高圧結晶相を測定対象として上記の技術を応用することに初めて成功した。その結果、30mm3の試料に対して1GPa以上、10mm3の試料に対して2GPa以上の圧力を発生させた上で、両方の条件の試料について良質の中性子粉末パターンを得ることができた。これによって、ダイヤモンドアンビルセルと比較すると1000倍を越える体積の試料を、NMRと中性子の測定が充分に可能な良好な条件で圧縮でき得ることが示された。よって微小な量の水素からのNMR信号の測定を可能ならしめることが今後は期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サファイアアンビルの予備加圧実験において必要な性能が発揮できなかったことにより、その形状を再検討した。さらに加工後の仕上がり形状にあわせた部品を別途製作して補強を行った。以上の作業を追加したことで、当初の研究目的にほぼ対応する進展が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
サファイアアンビルを使った圧力発生試験を積み重ねるとともに、ガスケットの材料および形状をさらに最適化することで、発生可能な圧力をより向上させる。
|