2012 Fiscal Year Annual Research Report
コアシェル型ナノ微粒子増強ラマン分光法による白金高指数面電極の実構造解析
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23350002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
星 永宏 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30238729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 将志 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70348811)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 白金単結晶電極 / 酸化皮膜 |
Research Abstract |
ナノ微粒子増強ラマン分光法を用いて,Pt(100)およびPt(110)電極上の酸化皮膜をその場観測する実験条件の最適化を行った。 金ナノ微粒子の担持方法を検討し,単結晶電極表面に被覆率0.5で担持する方法を開発した。あわせて,連携研究者である北海道大学・池田准教授の指導を受け,ラマン測定用の対物レンズの見直しと焦点合わせの最適化を行った。レーザー光の強度を調節し,Pt上の酸化被膜測定に適したレーザー光強度を見出した。 当初予定していた0.1 M 過塩素酸溶液中では過塩素酸イオンのラバンバンドがPtOHのバンド波数と被って測定を妨害することが分かったので,電解液を0.1 Mフッ化水素酸に変更した。 実際にナノ微粒子増強ラマン測定を行うと,金ナノ微粒子の合成に使用したクエン酸のラマンバンドが非常に大きく観測された。このバンドは,水およびPtOHのラマンバンドの波数領域と被る。合成したナノ微粒子の洗浄方法の改善,高電位に電位を保持してのクエン酸の分解操作により,クエン酸由来のバンド強度は減少したが,水やPtOHの弱いラマンバンドの観測には未だに不十分である。 PtOのバンドが現れる500 cm-1付近にはクエン酸由来のラマンバンドが観測されないため,PtOのラマンバンドの電気化学環境下での観測に世界で初めて成功した。PtOのラマンバンドの立ち上がり電位は酸化皮膜の立ち上がり電位と概ね一致した。PtOのバンド強度は,Pt(110) < Pt(100)となった。酸素還元活性の序列は,Pt(100) < Pt(110)であるため,Pt(100)上ではPtOの被覆率が高く,ORR活性が阻害されていると推定される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である,電気化学環境下でのPtOのラマンバンド測定に,Pt(100)およびPt(110)電極上で成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
吸着水と酸化皮膜(PtOH, PtO)生成の相関を総合的に議論するためには,PtOの観測だけでは不十分である。吸着水およびPtOHのラマンバンドの観測のためには,金ナノ微粒子からクエン酸を完全に除去する必要がある。 ナノ微粒子増強ラマン分光法を用いている他グループでは,金ナノ微粒子を2 nm厚さのシリカで被覆している。他グループのデータにはクエン酸由来のバンドが見られないので,金ナノ微粒子のシリカ被覆が,クエン酸除去に最も有効と考えられる。 今後は,金ナノ微粒子を2 nm以下の厚さでシリカ被覆する条件を最適化し,Pt基本指数面上で,吸着水,PtOH,PtOのすべてのラマンバンドの観測を試みる。
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