2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23350095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 長夫 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60124575)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 近赤外色素 / フタロシアニン / ポルフィリン / アザBODIPY / 合成 |
Research Abstract |
様々な方法に寄り近赤外領域に吸収を有する色素を合成、報告する事に成功した。これらの色素は太陽エネルギーを有効に捕集するため、或は癌の光化学治療に用いる時に要求される性質を基本的に有している。1)フタロシアニン(Pc)の中心金属としてMn(III)を、周辺置換基として8つのフェニル基を導入し歪みを生じる事で最長波長帯を約850nmに、更に1電子参加させて1230nmに吸収ピークを移動させる事に成功した。2)ケイ素Pcとナフタロシアニン(Nc)を酸素で架橋し、吸収ピークを1087nmに生じさせた。3)ベンゾピロール類を8個環状に結合した芳香環を合成した所、1038,1081,1482nmに分子吸光係数が10万を超える3つの化合物を報告する事に成功した。これらの化合物は込み合った立体状態のため平面状ではないが、軌道エネルギーが低く、大気中で比較的安定であった。4)700nm近傍に主吸収を持つ両親媒性Pcの鉄とコバルト錯体は、酸素の電気化学的還元に対し触媒となる事を示した。5)ナフタレン環で結合したPc平面ダイマーは励起子分裂により790nmに主吸収を示した。6)主吸収を約800nmに持つPcが球場のフラーレンと共結晶を作る事を発見した。7)新規ピロロピロールアザBODIPYがBODIPYとしては長波長の650-700nmに主吸収を有する事を報告した。8)約800nmに吸収を持つ水溶性亜鉛Pcがカーボンナノチューブに取り込まれると光化学的性質が寄り顕著に現れる事を示した。 以上の様に種々の方法で近赤外色素をデザイン合成し、その幾つかについては新たな機能が現れる事を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究結果を10余報の報告とする事が出来た。全て国際雑誌への投稿でありレベルも相応である。我々の研究室は分光学が判って分子をデザインするため、合目的に化合物を合成、特性化する事が出来ている。吸収を近赤外領域に持って行くばかりでなく、幾つかは機能を持つ事を報告した(例えば酸素還元触媒能等)。又芳香環を縮合したピロールを8つ環状につなげた色素では吸収が非常に鋭く強いため、新たな利用法例えば偽物検出)が考えられそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在最終年度に向け以下の方針で研究を進めている。1)短工程高収率で合成できる安定性の高い実用化可能な近赤外色素の構築。可視部に吸収が無い、或は弱いこれらの色素は我々の目には透明なため、これを用いてお札や商品を作れば擬札、偽物商品を見分けるのに非常に有効である。2)可視部ー近赤外部に幅広い吸収を持つ色素の開発。これらは太陽電池等太陽のエネルギーを有効に捕集するのに有効であるため、大気中で安定な化合物をデザインする。この為には全ての軌道のエネルギーを下げる工夫をする。3)更に長波長に吸収を有するアザBODIPYダイマーをデザインする。今まで得た知見より置換基として電子供与性の物で達成できると思われる。4)芳香族分子に導入する電子供与性と吸引性の置換基の位置と数により分子の対称性を変えて吸収スペクトルを調節する。5)低対称のPc 類縁体を酸素を介して2量化する事に寄り、吸収位置を対称性の高いもののそれからずらす事により新規色素の性質を調べ、癌の光化学治療等に使えるか検討する。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Acenaphthylene-fused Cyclo[8]pyrroles with Intense NIR Absorptions.2013
Author(s)
T. Okujima, C. Ando, J. Mack, S. Mori, N. Matsumoto, J. Nakamura, T. Nakae, H. Yamada, K. Ohara, N. Kobayashi, H. Uno
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Journal Title
Chem. Eur. J.
Volume: 19
Pages: 13970-13978
DOI
Peer Reviewed
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