2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360061
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
秋田 貢一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 主任研究員 (10231820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕士 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (10373242)
今福 宗行 東京都市大学, 工学部, 教授 (00183012)
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Keywords | ピーニング / 残留応力緩和 / 機械的負荷 / 転位密度 / 中性子回折 |
Research Abstract |
金属材料表層に圧縮残留応力を付与できるピーニング技術は、機械構造物の疲労や応力腐食割れの対策として用いられている。一方、その圧縮残留応力は実働中に作用する熱や荷重などの外的負荷によって緩和する可能性がある。本研究では、外的負荷による残留応力緩和の機構を明らかにすることで、ピーニングを施した機械構造物の信頼性向上に資することを目的としている。今年度得られた主な成果を以下に示す。 1.機械的負荷による残留応力緩和の解明 レーザーピーニングを施した鉄鋼およびアルミ合金の部材が機械的負荷を受けた場合の残留応力緩和挙動を、X線法、中性子法および有限要素解析によって検討した。その結果、表面圧縮残留応力に釣り合う形で存在する部材内部の引張残留応力が引張負荷と重畳して塑性変形し、そのために生じる残留応力再配分によって表面の圧縮残留応力が緩和し始めることを明らかにした。 2.転位密度による塑性ひずみ評価の検討 塑性ひずみは、ピーニング段階での残留応力発生および稼働中の残留応力緩和の両者においてキーファクターとなる。そこで、塑性ひずみを定量的に評価する方法を検討した。ここでは、X線回折プロファイル解析によって求めた転位密度と塑性ひずみとの関係を検討し、両者が一義的関係にあることを見出した。これにより、回折法による非破壊、非接触での定量的塑性ひずみ評価の可能性を示した。 3.中性子応力測定精度に及ぼす中性子の吸収の影響 残留応力は部材全体でつりあい状態にあるため内部も含めた評価が重要であり、本研究では内部測定可能な中性子応力測定法を用いる。しかし本法では、試料による中性子の吸収が測定精度に及ぼす影響が不明であった。そこで実験的、理論的にこれを検討し、スリット幅が大きいほど吸収による見かけのひずみが大きくなるが、本研究で用いるスリット幅(2mm以下)では、その影響は無視し得る事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
中性子応力測定を実施する予定であった大強度陽子加速器施設J-PARCおよび研究炉JRR-3が、両者ともH23.3.11の東日本大震災で被災したため、H23年度は使用不可であった。そのため、中性子を利用する計画部分に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
中性子回折実験を行う予定であった研究炉JRR-3はH24.5.7現在未だ再稼働していないが、同様の実験が可能なJ-PARCはH24年3月から再稼働している。そこで中性子回折実験は予備実験も含め、主にJ-PARCで実施する計画に変更する。
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