2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23360061
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
秋田 貢一 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (10231820)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今福 宗行 東京都市大学, 工学部, 教授 (00183012)
黒田 雅利 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (00432998)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | ピーニング / 残留応力緩和 / 転位密度 / 中性子回折 |
Research Abstract |
金属材料表層に圧縮残留応力を付与できるピーニング技術は、機械構造物の疲労や応力腐食割れの対策として用いられている。一方、その圧縮残留応力は実働中に作用する熱や荷重などの外的負荷によって緩和する可能性がある。本研究では、外的負荷による残留応力緩和機構を明らかにすることで、ピーニングを施した機械構造物の信頼性向上に資することを目的としている。 今年度は、ショットピーニング(SP)およびレーザーピーニング(LP)を施工したオーステナイト系ステンレス鋼 SUS316における微視組織と高温下残留応力安定性について検討した結果、以下の結論が得られた。 1.熱時効処理に対する残留応力緩和率はLP 材よりSP 材の方が高い、すなわち、LP 材のほうが高温下残留応力の安定性が高かった。 2.SP 材は深さ 0~100ミクロンメートルの表層、LP 材は深さ75-200ミクロンメートルで応力緩和が生じ、これらの残留応力緩和領域では半価幅および硬さの低下がみられた。したがって、この領域ではピーニングによって上昇した転位密度が熱時効による回復によって減少して微視的ひずみが解放され、その結果残留応力が緩和したと考えられる。 3.ピーニングを施工した材料の組織観察結果から、SP 材では多量のすべり帯が観察され、一方、LP材でもすべり帯が観察されたがSP材に比べ非常に少なかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おもな実験は、大型実験施設J-PARCおよびJRR-3において実施する計画であったが、JRR-3が震災のH23年以後まだ再稼働していないため計画に若干遅れが出ていた。そこで、H24年度はJ-PARCの使用比率を高くすることで遅れを取り戻した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに、SPよりもLPによって導入した圧縮残留応力のほうが高温下の安定性が高いことが明らかになった。この残留応力の高温下安定性には、LPによって導入されるすべり帯がSPの場合よりも非常に少ないことが関係していると考えられる。そこでH25年度は、ピーニングによって導入される微視組織をより詳細に調査する。特に、各ピーニング施工面の転位密度や結晶子サイズを定量的に評価し、高温下残留応力安定性との関係を検討する。
|
Research Products
(3 results)