2011 Fiscal Year Annual Research Report
電波伝搬測定に基づくMIMO通信容量の評価とその改善に関する研究
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23360166
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 恭孝 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (70125293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大鐘 武雄 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (10271636)
西村 寿彦 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (70301934)
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Keywords | MIMOチャネル / チャネルサウンダ / OFDM / 散乱体 |
Research Abstract |
1.MIMO伝搬路を測定するため、チャネルサウンダ構築の準備を行った。無線チャネルの伝達関数を測定するには、OFDM伝送方式の各サブキャリアにおけるチャネル特性を測定することにより実現できる。新しい携帯電話方式であるLTE(Long-Term Evolution)においては、OFDM伝送が採用されている。そこで、信号発生器を用いてLTE方式に準拠したOFDM信号を発生させ、本研究費により購入したシグナルアナライザシステムを用いて、各サブキャリアの検波前の複素信号により、チャネル測定が可能であることを確認した。 2.無線伝搬路の周波数相関は、周波数ダイバーシチ効果の評価やOFDM信号のチャネル推定のためのパイロット信号挿入間隔の決定などに重要な役割を果たす。これまでの周波数相関は単一のアンテナについて定義されていた。本研究では、これをマルチアンテナ系に拡張し、その定義を明らかにするとともに数値計算によって、その評価を行った。その結果、アンテナ間隔が広い場合には従来の、単一アンテナについて定義された周波数相関とは異なる挙動が明らかになった。 3.無線伝搬路における散乱体の高分解能位置検出に応用が期待できるTime-Reversal MUSIC法の特性改善の検討を行った。マルチアンテナ系により測定された広帯域散乱係数を、逆フーリエ変換を用いて時間領域信号に変換する。次に、検出したい領域に存在する応答のみにゲーティング(フィルタリング)を行い、当該領域以外の応答を除去する。これにより、領域以外に分布する雑音成分が除去されるため、SN比が著しく向上する。また、領域外の応答を除去することにより、一度に検出しなければならない応答を減らすことができるため、アンテナ数より散乱体の数が少なくなければならないという条件を緩和することが可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のポイントは新しい携帯電話方式LTEで用いられているOFDM信号を利用し、各サブキャリアにおける識別前の受信信号により無線伝搬路推定を行うことである。本研究費で導入されたシグナルアナライザシステムにより、その動作確認ができている。これにより、MIMOチャネルサウンダ構築のための準備がほぼ予定通り進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
MIMOチャネルサウンダを構築し、実伝搬環境のMIMO伝搬測定を行う。チャネル容量を統計的に評価するためには多数のチャネル特性を測定する必要がある.本測定系はOFDM信号の各サブキャリア周波数におけるチャネルを求めるものであるが,その数が十分でない場合には,送信キャリア周波数を複数個使用し,周波数領域で統計評価に必要な大量のチャネルデータを得ることにする.更に、Time-Reversal技術による高分解能散乱体検出システムの特性改善を図るとともに、同技術を通信に応用することによって,広帯域MIMO伝送法の特性改善を目指す.
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Research Products
(6 results)