2011 Fiscal Year Annual Research Report
透視技術の利用による機能性コンクリートの検査・健全度診断用物性学的評価手法の開発
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23360187
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
杉山 隆文 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70261865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 和紀 北海道大学, 大学院・工学研究院, 助教 (60187474)
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Keywords | 透視技術 / 3次元可視化 / X線CT / ひび割れ / コンクリート / 機能性コンクリート / 道路舗装ブロック / 物質移動 |
Research Abstract |
コンクリート構造物は様々な原因によりひび割れが生じることがあり、ひび割れを有する構造物では,構造物の美観の低下に加え,ひび割れから塩分が侵入することで生じる塩害を生じる問題,ひび割れから二酸化炭素が侵入して生じる中性化,ひび割れがコンクリート中の鋼材の腐食速度に影響を及ぼすなど様々な問題が生じる。コンクリートの物質移動性において,内部に発生したひび割れの形状や経路が及ぼす影響は大きく,3次元での物質移動のメカニズムの解明が求められている。 本研究では,実構造物で発生するひび割れの検出を可視化することを目的に、X線CTを用いてひび割れや欠陥部の透視技術の開発を実施した。さらに、放射光X線CTによる未水和粒子や骨材の分離手法を開発した。先ず、モルタル供試体の側面にFRPシートを貼付し,三点曲げ試験を行い,曲げひび割れを制御しながら発生させた。そして,微焦点X線CTを用いて内部画像を撮影し,ひび割れの3次元で可視化した。また,炭酸セシウム水溶液を用いてひび割れ中に浸透する水溶液の移動挙動を可視化した。さらに、道路舗装への適用を研究するために、実際に車両荷重を4年間受けた機能性コンクリートブロックからコアを採取して、この内部構造の透視を行った。 本年度の範囲内で以下のことを明らかにした。すなわち、(1)X線CTにより計測した引張縁のひび割れ幅は,マイクロスコープの計測値とほぼ等しい結果となった。しかし,ひび割れ幅30μm以下のひび割れに対して3次元透視図を作成することは出来なかった。(2)曲げひび割れは,引張縁でひび割れ幅が最大となり,圧縮側で小さくなる形状を可視化できた。(3)ひび割れ中に炭酸セシウムが浸透する様子を可視化できた。(4)実車両荷重を4年間受けた機能性コンクリートブロックの内部構造の透視により、微細ひび割れなどの損傷は認められなかった。(5)ヒストグラムの閾値設定より相分離手法を考案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コンクリートの検査・診断技術に欠かせないひび割れ検出に成功して、透視することができた。しかし、物性学的な評価方法の構築を今後進めていく必要がある。これは、ひび割れ中の物質移動性を定量評価することによりおおむね達成されると考えら、その道筋を立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
合理性のある物性学的評価を行うために、更新した「イオン同時輸送モデル(SiTraM)」を用いて、ひび割れ中の物質移動解析を実施する。入力情報は透視技術から得られた画像情報に基づいた数理モデルを介して取得することを念頭にしており、その橋渡しのための要素技術を開発する。対象は、コンクリート中の鉄筋腐食発生時のCl/OHの導出およびひび割れ中の水分移動であり、検査・診断技術の精度向上を合理的に実現する手法を開発する。なお、特徴的なキャラクターを有する機能性コンクリートについても適用可能な技術開発を目指す。
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