2011 Fiscal Year Annual Research Report
大規模断層を対象とした強震動予測手法確立と各種構造物の損傷メカニズムの解明
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23360195
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉戸 真太 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (60115863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能島 暢呂 岐阜大学, 工学部, 教授 (20222200)
久世 益充 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助教 (30397319)
伊津野 和行 立命館大学, 理工学部, 教授 (90168328)
渦岡 良介 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40333306)
北原 武嗣 関東学院大学, 工学部, 教授 (00331992)
岩本 政巳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60232716)
古本 吉倫 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (90303510)
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Keywords | 強震継続時間 / 地震動 / 海溝型巨大地震 / 構造物被害 |
Research Abstract |
(1)海溝型巨大地震による長い強震継続時間を有する地震動推定法の開発 申請者らにより開発された工学的基盤における非定常地震動の予測手法(EMPR)は、過去の多くの強震記録をベースにした強震動予測法であるが、巨大地震による強震記録はほとんど得られていないために、巨大地震特有の地域固有の長周期地震動を適確に取り入れた予測法の開発が望まれていた。本研究では、最近のK-Net観測網記録を詳細に検討し、このような長周期地震動を含む予測手法(EMPR-HR)に拡張する。とくに、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震(M9.0)による多数の強震記録に基づき、(1)震源断層、(2)広域のやや深部基盤構造、(3)局所的な表層地盤構造が、それぞれ対応する各周波数帯域の強震動特性にどのように影響するかに注目した解析・検討を行った。 (2)構造系の損傷度からみた強震継続時間の定義に関する検討 上記(1)の検討結果を参考にしながら、各種構造形式毎に異なる強震継続時間の影響を明確にし、強震動の破壊力をその“強度”と“継続時間”の二つにより表現することを検討した。ここでは、自治体の地震被害想定で重要な検討事項となる(a)一般の木造家屋構造、多くの土木構造物の構造形式である(b)RC構造、(c)鋼構造、さらに、継続時間の影響が著しいと考えられる(d)液状化地盤における土木構造物、等を対象として、それぞれの構造形式の被害レベルを二つの地震動情報から推定する手法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)海溝型巨大地震による長い強震継続時間を有する地震動推定法を開発し、具体的に既に共用されている長大橋梁を対象として、想定震源断層による当該地域での強震動予測を実施し、その耐震検討ならびに耐震補強による強度増強度について検討した。巨大地震を想定した地域特有のスペクトル特性を有する強震動予測手法を開発できたと考えている。 (2) 構造系の損傷度からみた強震継続時間の定義に関する検討については、2011年3月11日東北地方太平洋沖地震(M9.0)による多数の強震記録に基づいた検討を行った。23年度においては、RC構造、鉄骨構造を中心にして地震動のスペクトル強度、強震部の継続時間等が構造物の損傷度に与える影響について検討した。年度当初予定した研究内容の達成度は高いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度の検討課題の一つである強震継続時間の定量的な表現(定義)を確定し、各種構造形式の損傷との定量的関係についての検討結果を取りまとめる。すなわち、①外力項の一つとして有効な強震継続時間の提案、②各種構造形式の非線形時刻歴応答解析に基づく損傷メカニズムの解明、を推進する。また、地域地震危険度評価への適用手法の提案:近年その手法が確立されつつある地域地震危険度解析の結果に上記検討結果を組み入れる方法論について検討する。
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Research Products
(9 results)