2012 Fiscal Year Annual Research Report
性能設計対応型ポーラスコンクリートの施工標準・品質保証体制の確立とその応用
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23360244
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
畑中 重光 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00183088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 直生 三重大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30335145)
坂本 英輔 舞鶴工業高等専門学校, 建設システム工学科, 助教 (40583539)
葛葉 泰久 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (50373220)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ポーラスコンクリート / 施工標準 / 品質保証 / 都市水害対策 / 性能設計 / 透水性 / 寸法効果 / 流量 |
Research Abstract |
ポーラスコンクリートは、今後、環境面や防災面で重要な役割を果たす社会基盤材料となることが期待されている。これに対して本研究では、ポーラスコンクリートの適用可能な各分野における必要性能の定量化および品質確保のための施工標準の策定を目指している。本年度の研究成果を要約すると、以下の通りである。 (1) ポーラスコンクリートの化学的安定性に関する研究:ポーラスコンクリートを透水性舗装として広く普及させるためには、冬期の舗装面に散布される凍結防止剤(塩化カルシウム)に対する化学的安定性の把握が不可欠である。本年度の研究において、ポーラスコンクリートの塩化カルシウム水溶液への浸漬による圧縮強度の低下に関する実験を行い、強度の低下および崩壊に至る条件が定量的に把握された。 (2) 簡易かつ高精度なポーラスコンクリートの空隙率測定方法の提案:測定レンジの広いコンクリート用エアメータを用いた、ポーラスコンクリートの空隙率の測定方法を提案し、その妥当性の検証を行った。その結果、現場でも適用可能な簡易さおよび迅速性をもち、かつ、測定精度面でも充分な測定方法であることが明らかとなった。今後、ポーラスコンクリートの品質確保のための重要な試験方法として、普及させていく予定である。 (3) ポーラスコンクリートの透水性に関する研究:前年度に製作された水平方向透水試験装置を用いた各種の実験が行われ、ポーラスコンクリート舗装内を水平方向に流れる水の挙動が明らかとなり、定量化に向けた課題などが示された。 (4) 都市型水害対策のための新たな舗装システムの開発:実大ポーラスコンクリート舗装を用いた、水平方向の透水試験を行い、水平方向透水試験装置との整合性が確認され、また、路盤の状態や排水管の設置による効果などが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
施工標準の作製に必要となる、使用材料および調合の選定の根拠となる耐久性に関する結果の1つが得られた。また、品質管理のための試験方法として、最も重要となる空隙率の測定方法に関して、画期的な手法を提案し、また、その実用性についても実験結果による明らかとすることができた。 また、都市型水害対策への適用性に関する研究については、水平方向透水試験装置および実大施工実験の結果から、これまで明らかとなっていない水平方向の透水性に関する多くの試験データが得られ、ほぼ予想したとおりの水害に対する対策効果が得られることが明らかとなった。 車輪による摩耗抵抗性については、評価手法の確立の遅れから実験が進んでいない点が課題として残されているものの、次年度には解決されるめどが立っており、全体として、概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本申請研究の最終年度である次年度の研究では、本年度までに研究結果に基づき、以下の内容に関して研究を進める。 (1) ポーラスコンクリートの化学的安定性に関する研究:昨年度の研究結果から、ポーラスコンクリートを透水性舗装として広く普及させるために不可欠な、凍結防止剤(塩化カルシウム)に対する化学的安定性が問題となることが明らかとなった。本年度も昨年に引き続き、耐久性およびその改善手法に関する広範囲な研究を進める。 (2) ポーラスコンクリートの透水性に関する研究:昨年度の研究結果から、これまで行われてきたポーラスコンクリートの透水性の評価方法自体に問題がある可能性が指摘された。このため、ポーラスコンクリートの透水性評価方法自体に関して、その妥当性の評価試験を行い、品質評価手法の確立を進める。 (3) ポーラスコンクリートの耐摩耗性に関する研究:昨年度までに、試験装置は完成しているものの、その評価方法に問題があり、要因実験を進めるには至っていなかった。本年度は、耐摩耗性の評価方法の確立と、各種要因に対する耐摩耗性の定量化と改善手法の確立を行う。 (4) 都市型水害対策のための新たな舗装システムの開発:前年度に引き続き、都市型水害対策のための舗装システムに関して、透水性や貯水性の必要性能を設定し、ポーラスコンクリート舗装の複層化なども含めて最適な組み合わせを検討する。これと併せて、本研究で開発した水平方向透水試験装置を活用し、水害時の状況を再現した総合的な防災性能の評価も行う。 (5) ポーラスコンクリートの施工標準および品質保証体制の確立:高品質なポーラスコンクリートを安定的に生産できる社会的な基盤を整え、かつ性能設計の実現に資することを目的に、本研究成果に基づいた品質の安定化のための施工標準の策定および現場における品質保証体制の確立に取り組む。
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Research Products
(2 results)