2012 Fiscal Year Annual Research Report
OD構造を有する新奇金属間化合物の構造安定性と力学特性
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23360306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸田 恭輔 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20354178)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Order-disorder (OD)構造 / 結晶構造解析 / 透過電子顕微鏡法 / 相安定性 / 力学特性 / 変形機構 |
Research Abstract |
次世代の軽量構造用材料として期待されているMg-遷移金属(TM)-希土類(RE)系合金の優れた力学特性は,合金中の析出物相と密接に関連していると考えられているが,その詳細な役割については未だ不明な点が多い.そこで本研究ではMg-TM-RE合金中で新しく発見したOD(Order-disorder)構造という特異な積層構造をもつ析出物,OD金属間化合物相の相安定性を決定する要因,さらに相安定性と力学特性の相関を解明するとともに,このようなOD金属間化合物の結晶構造を記述するためのモデル構築をし,新奇OD金属間化合物相の強化相としての有効利用のための基礎確立を目的とした.本年度は前年度までに明らかにした18RタイプのMg-Al-Gd三元系OD金属間化合物相の結晶構造モデルをもとに,14HタイプのOD理論による結晶構造の解析を行った.また18RタイプのOD金属間化合物相についての熱処理実験を行い,その形成プロセスを明らかにした.さらにVASPコードを用いた第一原理計算により,18RタイプのMg-Al-Gd OD金属間化合物相の多形間のエネルギー差を評価し,実験的に得られた最安定多形1Mタイプ(空間群C2/m)がエネルギー的にも最安定であることを確認した.またMg-Al-RE三元系OD金属間化合物(RE=Y, La, Ce, Nd, Sm, Dy, Ho, Er, Yb)について第一原理計算により,構造安定性に及ぼすRE元素の影響についての基礎的な知見を得た.またMg-Zn-Y系OD相について,ミクロンサイズの微小単結晶圧縮試験を行い,活動する変形モード並びにその臨界分解せん断応力の試験片サイズ依存性についての基礎的な知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたMg-Al-RE系三元系合金中のOD金属間化合物の結晶構造の決定に成功したとともに, Mg-Al-RE三元系OD金属間化合物相の形成過程を明らかにすることに成功した.またVASPコードを用いた第一原理計算による安定構造の検討,相安定性の評価,マイクロピラーを用いた単結晶微小圧縮試験による力学特性評価にも成功している.さらに平成25年度以降に着手する予定であった,Mg-Al-RE系OD金属間化合物相の規則構造ブロックの構造を基礎として,ブロック内の構造に短範囲規則に関するパラメータを導入した結晶構造モデルの検討にも着手して いることから,当初の計画以上に研究が進展していると自己評価している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は平成24年度までの研究内容を引き続き行うとともに,研究対象をさらにMg-TM-RE系(RE=Zn,Ga,Inなど)に拡張させ,構造ブロック内の規則配列構造の長周期性が異なるものも含むMg-RE-TM系OD金属間化合物の結晶構造を包括的に記述する新しいモデルの構築を試みる.また結晶構造が明らかとなったMg-Al-Gd系をはじめとする各種OD金属間化合物相を用いて,マイクロピラーを用いた微小圧縮試験による力学特性評価ならびに変形機構の解明を目指す.現在までのところ,研究遂行上の大きな問題点はなく,研究計画の変更の必要はない.
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