2011 Fiscal Year Annual Research Report
多孔質膜/イオン交換クローズド抽出システムによる土壌からのリン回収
Project/Area Number |
23360336
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
松本 幹治 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (30011224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一穂 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (30323934)
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Keywords | 土壌 / リン / 脱水ろ過 / 吸着平衡 / セラミック膜 |
Research Abstract |
リン資源の循環利用のため、土壌からのリン回収技術の開発のため、本年度は、(1)多孔質セラミック膜による土壌の抽出、洗浄、脱水方法の開発、(2)土壌に蓄積した不溶性リンの溶出挙動、の二つの点について検討を行った。(1)に関しては、対象とする土壌として、鹿沼土、赤玉土、関東ローム、カオリンを選定した。またろ過脱水方法として管状のセラミックス膜による膜分離特性の測定を行った。セラミック膜による分離では、上向流や下降流などの装置特性、スラリー濃度、圧力などの操作特性について検討を行ったが、脱水されたスラリーが膜の流路内で流動性をなくし閉塞傾向が見られ、濃縮限界が明らかになった。この結果より、ろ布を用いたフィルタープレスについても新たに土壌の固液分離特性の検討について行った。フィルタープレスを用いた固液分離では非常に効率的に土壌のろ過脱水操作が行えることが明らかになった。(2)に関してはリン酸吸収係数のことなる土壌として、主に鹿沼津土、赤玉土について、リン酸の吸着等温線の作成、酸による脱着特性などについて、リン酸に吸着平衡関係を調べた。リンの吸着等温線はラングミュア型で整理できることが分かり、各土壌についてそのパラメータを決定することができた。また、バッチ試験により塩酸により吸着したリンの脱離回収を行った結果、酸によるリンの回収が可能であることが示された。バッチ試験では、測定できるデータ数に限りがあり、また評価された回収率にもばらつきがあった。より効率的にデータをとるためにカラム方により吸脱着試験を行った。酸による処理では、土壌が微粒化しカラム内のフィルターを目詰まりさせて圧力損失を大きくすることから、カラムへの土壌の充填などを最適化する必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であるセラミック膜による土壌のろ過脱水では流路閉塞の問題があることが分かり、新たにこの点について検討を行うと同時に、ろ布を用いたフィルタープレスについても検討し、高い性能があることが確認できた。また、リンの吸着平衡については目的を達成でき、さらに効率的な測定方法についても開発を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
目的とするクローズド抽出システムで用いる固液分離特性はほぼ検討ができたため、計画通りにシステムの革新部分であるバイポーラ膜部の検討に移る。装置の開発は、主に鹿沼土、赤玉土を用いて行っているため、装置開発がある程度進んだ時点で、より分離特性が難しい土壌についても処理対象物質に加えていく。
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