2012 Fiscal Year Annual Research Report
炭素質多孔体誘起マイクロ波プラズマ非平衡反応による環境・エネルギープロセス
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23360345
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
板谷 義紀 岐阜大学, 工学部, 教授 (50176278)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 反応・分離工学 / プラズマ / エネルギー効率化 / 環境技術 / ナノ材料 / タール分解 / 非平衡 / 反応活性 |
Research Abstract |
活性コークスなどの炭素質多孔体にマイクロ波を照射した場合,導電性物質の細孔構造内部での電磁誘導効果で,微細孔空間や粒子間隙で誘起された大気圧非平衡プラズマが低出力でも生じることを発見した.このようなマイクロ波プラズマを化学反応場に活用することで,反応の非平衡化による気相反応活性が著しく向上することが期待される.このような機能性に着目して,活性コークスなどの炭素質多孔体充填層を誘起源とするマイクロ波プラズマを利用して,タール成分のアップグレード化などの環境・エネルギープロセスに寄与できる反応試験を実施し,反応活性増大効果を反応動力学的に解明する.本年度は,昨年に引き続き以下のようないくつかの研究成果および今後に繋げる知見が得られた. 1.有機溶媒として直鎖状のヘキサンおよび化学的に安定なため難分解性溶媒のひとつに挙げられるベンゼンを模擬タール成分に用い,アルゴン中で気化した各有機溶媒のプラズマ分解試験を前年度に試作した石英ガラス管型プラズマ反応試験装置を用いて行った.その結果,常温雰囲気でもヘキサンは高い分解率を示し,マイクロ波出力500W以上では90%以上の分解率が得られた.一方,ベンゼンはヘキサンに比べて分解率が低いものの,マイクロ波出力500W以上では75%以上となり,プラズマの高い分解反応性を明らかにした. 2.ベンゼンのプラズマ分解試験では著しいすすの発生が観察された.このようなプラズマ反応雰囲気中に鉄系触媒(フェロセン)を導入し,生成するすす成分をSEM観察したところ,触媒を導入しないすすに比べて微細なファイバー状と思われる生成物の存在が確認された.引き続き,生成炭素成分のラマン分光やTEM観察をはじめとする詳細な検討を実施する予定である. 3.光ファイバー分光計により,アルゴンプラズマ発光スペクトル線から,プラズマイオン温度計測を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究目標である,模擬タール成分の分解挙動の定量的評価および分解過程で副生するすす成分の炭素系ナノ材料合成を示唆するSEM観察成果を得ており,最終年度である次年度で詳細な構造分析することにより,目標達成へ向けた研究成果が期待でき,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
難分解性成分であるベンゼンの高い分解率の実現,副生炭素成分がファイバー状ナノ材料の可能性を示唆するSEM観察結果,プラズマ温度計測法の確立など研究目標達成に向けた進展が得られた.今後は分解反応の速度論的検討,生成炭素成分のラマン分光,細孔構造,結晶構造解析,プラズマ温度計測の高精度化のための研究を推進することにより,さらに研究の進展が加速され,低出力で発生するマイクロ波プラズマの新たな環境・エネルギー利用へ繋げる技術開発のための基盤的シーズの提供を図ることができるものと期待される.
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Research Products
(18 results)