2011 Fiscal Year Annual Research Report
ソーラー水中グライダーによる海洋環境モニタリングに関する研究
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23360393
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
有馬 正和 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70264801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 秀勝 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (80260537)
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Keywords | ソーラー水中グライダー / 群知能海中ロボット / 自立型海中ロボット / 海洋環境モニタリング / 海洋生態系 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は,「グライダー型群知能海中ロボット」を開発し,千機を全地球規模の海洋に展開して,長期に亘る3次元多点同時観測を可能にすることである。本研究では,太陽光エネルギーを用いて長期間の運用が可能となる「ソーラー水中グライダー」を開発し,地球の短期的な気象変動に大きな影響を及ぼす浅海域の海洋環境データをモニタリングすることを目指している。本年度は,(1)浮力調整装置・推進機構の検討,(2)太陽光発電システムの検討,(3)水中グライダーの設計,(4)制御用ソフトウェアの検討,について検討を行った。太陽光は,海水による減衰を受けて,海中では青緑色の成分(約465nmの波長の帯域)のみが透過できる。しかも水深150~200mでその99%が吸収されてしまうので,水中でも効率良く太陽光エネルギーを利用するためには,この波長域を吸収することのできるアモルファスシリコン太陽電池を採用することが望ましいと考えている。一方,海面に浮上して測位やデータ通信を行っているときにはより広帯域の太陽光エネルギーを吸収することが求められ,アモルファスシリコン太陽電池と通常の多結晶(または単結晶)シリコン太陽電池のハイブリッド型の太陽光電池パネルを用いたソーラーパネルマウントを設計・製作してスイミングプールおよび実海域での太陽光発電性能の計測を行った。消費電力などの推定を行い,搭載機器の検討を行った。その結果,スラスターを用いた潜航ではなく,浮力調整装置を用いる必要があることが明らかとなった。また,浅海域での運用を目指すソーラー水中グライダーの応用事例として,海洋生態系環境のモニタリング手法について検討を行った。海棲動物の音響観測および造礁サンゴの画像計測の実現可能性を見出すことができた。次年度は,実海域用ソーラー水中グライダーの詳細設計を行い,製作を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の研究計画に沿って実施できているので。搭載機器の選定が終わっていないので,数値流体力学(CFD)的手法を用いた機体形状の設計は実施できなかったが,実海域用ソーラー水中グライダーの応用分野として,海洋生態系環境のモニタリング手法の検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究推進方策の通りに進めることができる。それに加えて実海域用ソーラー水中グライダーの応用として,海洋生態系環境のモニタリング手法についての検討を進めていく。
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