2012 Fiscal Year Annual Research Report
安全な帰港のための残存復原性及び残存強度評価法の研究
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23360397
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
小川 剛孝 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (50360714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 耕一郎 独立行政法人海上技術安全研究所, その他部局等, 研究員 (40586591)
高木 健 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (90183433)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 海事流体力学 / 損傷船舶 / 残存復原性 / 残余強度 / 構造信頼性 |
Research Abstract |
研究項目(1)「 自航または曳航中の損傷船舶の波浪中における船体運動及び波浪荷重推定法の確立」(主担当:小川剛孝、高木健、白石耕一郎)については、平成23年度に開発した手法を用いてシリーズ計算を行った。これにより、帰港の判断が難しいと想定される海象条件を抽出した。また、損傷時の船体にはたらく流体力の検証及び精度向上を目的とした模型試験を実施した。さらに、複合荷重を考慮できるように多方向波中での計算を行えるように手法を拡張した。 研究項目(2)「自航または曳航中の転覆確率及び破損確率推定法の確立」(主担当:小川剛孝、高木健、白石耕一郎)については、平成23年度に確立した自航または曳航中の損傷船舶の波浪中における船体運動及び波浪荷重推定法を組み込んで、破損確率と損傷を基点とする破壊の影響を考慮した転覆確率の数理モデルを開発した。 強度評価については、縦曲げ最終強度を評価指標にした評価プログラムを開発した。 研究項目(3)「 安全な帰港のための海象条件(限界海象)設定法の開発とケーススタディによる確立」(主担当:小川剛孝、高木健)については、(2)で確立した転覆確率及び破損確率推定法と転覆確率と破損確率の相関を評価する数理モデルを組み合わせることにより、破損確率と損傷を基点とする破壊の影響を考慮した転覆確率といった両方を俯瞰的に評価する手法についてのケーススタディを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目(1)「自航または曳航中の損傷船舶の波浪中における船体運動及び波浪荷重推定法の確立」については、計算法の開発とその検証及びケーススタディについては順調に進捗している。 研究項目(2)「自航または曳航中の転覆確率及び破損確率推定法の確立」については、プログラムの開発と初期検証は終了した。一方、検証途上であることと数理モデルの組み合わせの作業は若干遅れ気味である。 研究項目(3)「 安全な帰港のための海象条件(限界海象)設定法の開発とケーススタディによる確立」については、(2)で確立した転覆確率及び破損確率推定法と転覆確率と破損確率の相関を評価する数理モデルとの組み合わせにより、破損確率と損傷を基点とする破壊の影響を考慮した転覆確率といった評価法を開発するとの観点から、(2)の進捗の遅れをうけているものの、ケーススタディについてはある程度実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究項目(3)「安全な帰港のための海象条件(限界海象)設定法の開発とケーススタディによる確立」については、研究項目(2)「自航または曳航中の転覆確率及び破損確率推定法の確立」で確立した転覆確率及び破損確率の両方を斟酌して海象条件の設定を行っていく必要がある。 このように俯瞰的な検討が必要であるので、研究初期にも想定していたとおり、多岐にわたるパラメタを整理するための事故シナリオの整理も重要になると考えられる。 この点に留意して、合理的かつ効率的に研究を進めていきたい。
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