2013 Fiscal Year Annual Research Report
変動帯における結晶質岩中透水性亀裂の形成・寿命・機能評価に関する応用研究
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23360400
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉田 英一 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30324403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺原 良浩 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (10281065)
山本 鋼志 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70183689)
勝田 長貴 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70377985)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 応用地質 / 割れ目 / 年代測定 / 寿命 |
Research Abstract |
本研究では,現在,放射性廃棄物の地層処分や液化天然ガス(LPG)の地下備蓄などといった,大規模かつ長期的に地下環境・空間を活用する試みが進められている状況にいて,地下環境における地下水の通り道となる割れ目等での元素移動,物質循環システムを明らかにすることである。その対象岩盤として,花崗岩などの結晶質岩(亀裂性岩盤)を調査候補岩種とする。 このような地下環境・空間利用を安全に遂行するためには,地下岩盤中の亀裂が長期にわたって水理学的にどのように機能するのかを明らかにする必要がある。したがってとくに本研究においては「透水性亀裂の寿命」に関する基礎研究の成果を発展させ,我が国の地下環境利用の対象岩種の1つである結晶質岩中の透水性亀裂の機能とその寿命について,地球科学的データと工学的解析手法を組み合わせた総合的評価手法を構築することを目的とするものである。これまでの研究の結果から、結晶質岩中の透水性亀裂中の充填鉱物の組織と鉱物種を詳細に観察、分析することによって、透水性亀裂の発生~現在までのプロセスを理解することが可能であることを明らかにすることができた。とくに、現在も透水性を示す亀裂には、炭酸塩鉱物が必ず沈殿、形成されており、透水性亀裂の判断指標として用いることが可能であることも確認できた。これらの炭酸塩鉱物は、基本的に自形をした結晶であり、透水性亀裂中の空間が未だ地下水の水みちとして機能していることを示すものである。また炭酸塩鉱物の同位体成分分析、放射性炭素年代測定から、地下水の流動期間などの推測が可能であることが分かった。 今年度は最終年度として、とくに炭酸塩鉱物の充填組織やプロセスに着目し、その成因と併せて透水性亀裂の寿命、年代尺度の総合的解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
おおよそ当初期待していた以上のデータと成果、論文を発表することができ、基本的に当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度(最終年度)は、それまでの研究データをもとに、これまで実施してきた下記の実施項目1)国内複数の結晶質岩中亀裂の形態等構造学的フィールド調査、2)透水性亀裂充填鉱物の鉱物学的・地球化学的分析・年代測定調査、3)透水性亀裂のシーリング等に伴う下水流動モデル影響解析について,総合的かつデータおよび知見の統合を行う。
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