2012 Fiscal Year Annual Research Report
トレーサー内蔵ペレットによる不純物輸送計測及びプラズマ制御法開発
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23360415
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
須藤 滋 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50142302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 直樹 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (80390631)
尾崎 哲 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (50183033)
鈴木 千尋 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (30321615)
武藤 貞嗣 核融合科学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (40260054)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / 計測ペレット / 不純物輸送 / 計測用トレーサー |
Research Abstract |
1個のTESPEL中に3種類の異なったトレーサーを装填するトリプル・トレーサー手法を独自に考案し、トレーサーの粒子数が1017個程度の微量で、3種類のトレーサーV(Z=23), Mn (Z=25), Co(Z=27)の各Kアルファ線をX線PHAで観測し、また同時に、SOXMOS観測で1つのグレーティングでの分散波長範囲において3種類のトレーサーからのLi-likeのライン光などの同時観測により、プラズマ密度によりその振る舞いが大きく異なること、またトレーサーとは違ってプラズマ周辺部から混入するFe等との顕著な違いを見出した。即ち、密度が低い場合には、トレーサーが減衰するのに対して、密度が高くなると(5x1019m-3以上)、トレーサーはプラズマコア部に長時間滞留し、一方プラズマ外部から混入するFe等はプラズマコア部に入って来ないことを観測した。この成果を Nuclear Fusion誌にて発表した。さらに、Fe等のプラズマ外部からの不純物の生成量のプラズマ密度による違いの効果を避けるため、同量のArのガスパフ(SSGP)を行って模擬し、プラズマ密度によってプラズマ外部からの不純物混入の抑制効果が劇的に変化することを明確に示した。そして、不純物輸送に関する実験結果とSTRAHL不純物輸送コードによる輸送シミュレーションとの比較に関する研究成果を合わせて、第22回国際土岐コンファレンスにおいて口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
TESPELとArのガスパフを同時に行うことによって、TESPELによりプラズマ中へデポジットされたトレーサーとArのようにプラズマ外部から侵入してくる不純物の振舞いの違いがプラズマ密度により異なることを予想を超えて明確に示すことができた。これはTESPELの持つ特性が十分に発揮されたことによるものである。その成果は国際会議で発表し、複数の論文にもなりつつある。今後の計画にも弾みが付き、当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
TESPELの装置性能を高性能化しつつ、不純物輸送の物理解明を国内外の共同研究を通じて一層推進する。トリプル・トレーサー実験の進展に伴い、共同研究者とTESPEL実験データに基づき、トレーサー不純物輸送に関する解析・シミュレーションの共同研究を進める。特に、1個のTESPELペレット中に3種類の異なったレーサーを装填するトリプル・トレーサー手法により3種類のトレーサー(V, Mn, Co)のKアルファ線が鮮明に分離してX線PHAで観測できること、及びSOXMOSで3種類のトレーサーからのLi-like、Be-likeなどのライン光が同時に観測できることが実証できたことなどの成果を受けて、この手法を系統的に活用して、電荷数Zの異なる不純物の振舞いなどプラズマ中の不純物輸送特性をより精密に解明する計画である。具体的には、現LHDプラズマの電子温度領域でX線PHAが観測できる範囲でZの差が大きく取れるCl (Z=17)とCo (Z=27)の組み合わせ等による新たな実験を計画している。さらに、TESPEL中に装填したトレーサー粒子数量が正確にわかっており、これがプラズマ中に確実に注入されるので、プラズマの電子温度・密度の情報と併せて、そのトレーサー粒子数あたりの放射光強度を特定することも推進する。このように、TESPELを使ってプラズマ中での不純物輸送を従来に比べて格段に高い精度で計測するだけでなく、周辺プラズマの熱フラックス制御やトカマクのディスラプション制御等に活用する検討も引き続き進める。これら多様な研究において、特にTESPEL入射システムの高度化と観測装置の高精度化(多チャンネンル化)を目指す。
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Research Products
(8 results)