2011 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧非平衡プラズマと固体抽出剤を用いたハイブリッド核種分離法の研究開発
Project/Area Number |
23360423
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Nuclear engineering
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 達也 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 准教授 (70323839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野上 雅伸 近畿大学, 理工学部, 准教授 (50415866)
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Keywords | 固体抽出剤 / ピリジン樹脂 / クラウンエーテル樹脂 / イミノ二酢酸樹脂 / 核種分離 / 大気圧非平衡プラズマ / フェロシアン化物含浸吸着剤 |
Research Abstract |
本年度は吸着剤の合成として、シリカ担持型ピリジン樹脂および無担持型ピリジン樹脂の合成を行った。 また、イミノニ酢酸樹脂の合成法を確立し、安定的にキレート樹脂の合成が出来るようになった。クラウンエーテルについては、サイズやベンゼン環の数の異なるベンゾ15クラウン5(BC-15)、ベンゾ18クラウン6(BC-18)、ジベンゾ18クラウン6(DiBC-18)、ジベンゾ21クラウン7(DiBC-21)を縮合重合により樹脂化したものを作成した。合成したクラウンエーテル樹脂のうち、DiBC-21樹脂とDC-18樹脂の塩酸および硝酸からの各種金属イオンに対する吸着挙動についてバッチ試験を用いて検討した。金属イオン半径を考慮すると、Cs(I)はDiBC-21樹脂に、Sr(II)はBC-18樹脂に吸着されると予想されたが、Sr(II)が6mol/dm^3以上の塩酸からBC-18に吸着された以外は、吸着がほとんど観測されなかった。一方、両樹脂はエーテル環のサイズが異なるにも関わらず、共に塩酸系ではBa(II)およびFe(III)への吸着を示した。また、硝酸系ではAg(I)に対し非常に強い吸着を示し、Pd(II)も吸着した。さらに塩酸系では酸濃度の増加と共に吸着が顕著になったのに対し、硝酸系での吸着における酸濃度依存性は小さかった。つまり、クラウンエーテル樹脂はホストゲスト機能を有すると考えられているが、エーテルそのものに吸着が強固であるものにはサイズ効果はほとんど発現せず、エーテル環のサイズに影響を受けないことがわかった。したがって、クラウンエーテル樹脂による高度分離では吸着機構を考慮しながら利用することが必須であることを明らかがとなった。Cs(I)の吸着剤としてはフェロシアン化物を含浸させた吸着剤の開発も行い。フェロシアン化物含浸固体吸着剤ではCs(I)を強く吸着できることが確認された。 また、燃料の化学形転換に用いる大気圧非平衡プラズマによる反応装置の試作を行い、プラズマ発生の確認も行っている。本装置は平成24年度に模擬燃料による化学形転換試験に用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定であった樹脂の合成はほぼ終了した。ピリジン樹脂の架橋度を変えた樹脂の合成などは実施していないが、本来平成24年度に行う予定であった各種金属イオンの吸着試験や燃料の化学形転換用の大気圧非平衡プラズマ反応装置の試作などを前倒しして行っていることを鑑みるとおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画はおおむね順調に進んでいるので研究計画の変更等は必要ないが、今後の研究をより良いものとして推進するためには、作成しなかった架橋度を変えた樹脂の合成を早急に実施することが必要であり、作成した樹脂の吸着挙動についてはバッチ試験のみならずクロマトグラフィによる吸着試験を実施することが重要であると考えられる。また、大気圧非平衡プラズマ反応装置を用いた化学形転換の実証を早期に実施し、改良を加えていくことが今後研究を順調に進めていくために望ましいと考えている。
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Research Products
(2 results)