2012 Fiscal Year Annual Research Report
光受容体シアノバクテリオクロムと光応答現象の多様性と分子機構の統合解析
Project/Area Number |
23370014
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 昌彦 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (20159601)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 光受容体 / 結晶構造 / シグナル伝達 / c-di-GMP / フィトクロム |
Research Abstract |
①好熱性シアノバクテリアThermosynechococcusに存在するシアノバクテリオクロム型光受容体ドメインをもつc-di-GMP合成酵素(diguanylate cyclase)であるTlr0911とc-di-GMP分解酵素(phosphodiesterase)であるTlr1999、Tlr0911全長を大腸菌とシアノバクテリアで発現し、大量精製し、その活性をHPLCで測定した。Tlr1999はシアン光で活性化されるc-di-GMP分解酵素を示した。一方、Tlr0911は緑光で活性化されるc-di-GMP分解酵素と青光で活性化されるc-di-GMP合成酵素を示した。なお、後者は合成・分解の複合活性であり、さらなる検討が必要である。これらの結果は、Tlr0924が青光活性化型c-di-GMP合成酵素であるという我々のこれまでの結果と合わせて、好熱性シアノバクテリアにおける光シグナルの統合的感知機構の全貌がほぼ明らかになった。走光性を調節するTePixJのGAFドメインのPg型の結晶構造を決定した。この構造から、D環が予想通りE配向であり、Pb型で重要な役割を果たしているAsp残基がD環に結合していることが明らかになった。 ②珪藻Phaeodactylumのフィトクロム様光受容体を精製し、ヒスチジンキナーゼの自己リン酸化活性を測定し、赤光でその活性が大きく促進されることを見いだした。 ③長波長型シアノバクテリオクロムの探索として、いくつかの候補遺伝子を発現・精製したが、今後のさらなる検討が必要である。フィトクロモビリン発現大腸菌を用いて、未知の長波長吸収型色素を結合するシアノバクテリオクロムを見いだした。その色素解析から、ビリベルジンが結合している可能性が示された。またN. azollaeのCcaS様タンパク質を単離して分光特性を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1.Tlr0911がデュアルセンサータンパク質であることを示す、非常にきれいな結果が得られた。このような前例はないもので、この成果は当初目的を越える成果である。 2.TePixJの結晶構造を決定できたことは、当初の予定を越える大きな成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.TePixJのPb型、Tlr1999などの結晶解析を試みる。統合解析として、細胞レベルの光応答と複数の光受容体との関係を明らかにする。 2.珪藻フィトクロムの活性調節機構をさらに詳しく調べる。 3.長波長型シアノバクテリオクロムの性質を詳しく調べ、応用の可能性を検討する。
|
Research Products
(15 results)