2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規ストレス経路によるNF-kB活性制御機構と発癌
Project/Area Number |
23370062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鎌田 英明 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10233925)
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Keywords | NF-κB / ROS / アポトーシス / 腫瘍壊死因子 / 発癌 / 炎症 / タンパク質分解 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
NF-κBは炎症を制御する転写因子であり、阻害タンパク質IκBと会合して細胞質に存在する。腫瘍壊死因子(TNFα)などの炎症シグナルによりIκBキナーゼβ(IKKβ)が活性化されると、リン酸化されたIκBはユビキチンリガーゼβ-TrCPによるユビキチン化を受けて分解され、NF-κBは核内に移行する。これに対して我々は細胞を紫外線(UV)で照射すると、リン酸化非依存的にIκBがユビキチン化を受けて分解される新規のNF-κB活性化機構を発見した。本研究では新規のNF-κB活性化の分子機構を解明すると共に、新規に作製したIKKβ遺伝子改変マウスを用いてNF-κBの活性化と炎症と発癌の連関を解明することを目的とした。まずリン酸化依存的なNF-κBの活性化経路で機能する細胞質局在型IKKβと、リン酸化非依存的なNF-κBの活性化経路で機能する核局在型IKKβを導入したトランスジェニックマウスを作製し、これをIKKβ遺伝子を欠損するマウスと交配してそれぞれの経路のみが特異的に駆動される遺伝子改変マウスを作製した。このマウスに対して炎症モデル実験と発癌モデル実験を遂行する予定である。またTNFαにより活性化されたNF-κBはアポトーシスを抑制する機能を有するが、UVで照射により活性化されたNF-κBはむしろ細胞死を亢進する作用を有している。とくにUVで照射にともない抗アポトーシス遺伝子の発現が抑制されるが、この過程にはストレスに応答した遺伝子特異的なRNAの分解が関与する事が見いだされた。遺伝子改変マウスと細胞を用いて分子機構の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で計画していたリン酸化依存的、および非依存的なNF-κB活性化機構に関する遺伝子改変マウスの作製も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した遺伝子改変改変マウスについて解析をすすめることにより、リン酸化依存的、および非依存的なNF-κB活性化の炎症と発癌における役割を解明する予定である。さらに細胞レベルの解析により、この分子機構についても解明する予定である。
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Research Products
(16 results)