2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミンファミリー分子の多機能性と統合的制御の機構
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23370089
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹居 孝二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40322226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 浩司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80325092)
田邊 賢司 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80423341)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アクチン / ダイナミン / コルタクチン / 神経細胞 / 成長円錐 |
Research Abstract |
1.ダイナミンによる新規アクチンダイナミクス制御機構 ダイナミンがコルタクチンとリング状複合体を形成し、リングの開閉によりF-アクチンを機械的に束化する機構について機能解析を行なった。in vitro実験系において、あらかじめ形成させたアクチン線維束を溶液の希釈あるいはミカロライドBの添加によるアクチン線維の脱束化、脱重合を経時的に定量測定した。その結果、ダイナミン、コルタクチンの存在により、アクチン線維束はより安定であった。またこの効果は GTPgS存在下あるいはグアニンヌクレオチド無添加に比べ、GTP存在下で顕著であった。前年度までに得られたin vitroおよびin vivoの実験結果と合わせた研究成果を論文として発表した(Yamada et al., J Neurosci 33, 4514-4526.) 2.PKCによるコルタクチンのリン酸化 成長円錐におけるアクチンダイナミクスの制御にコルタクチンのPKCリン酸化が関与することを明らかにした。32Pで代謝ラベルしたNG108細胞の成長円錐をLPAにより崩壊させると、コルタクチンは速やかにリン酸化され、このリン酸化はPKC阻害剤Ro-31-8220により阻害された。コルタクチンとPKCがSH-SY5Y細胞成長円錐のフィロポディアにおいて共局在することを蛍光免疫法により観察し、両分子が結合することを免疫沈降法により示した。また、SH-SY5Y細胞をPKCアクチベーターPhorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)を用いて処理すると、成長円錐のコラプスに伴ってコルタクチンとPKCの結合が増加した。MALDI質量分析法によりコルタクチンのPKC リン酸化部位を複数同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ダイナミンによる新規アクチンダイナミクス制御機構:既述のとおり、ダイナミン/コルタクチン複合体による新規アクチンダイナミクス制御機構について学術論文にまとめ発表した。さらに、プロテインキナーゼによるコルタクチンのリン酸化については学会において発表した。 2.ダイナミン/コルタクチン複合体の構造解析:ネガティブ染色電顕観察により行い、ダイナミン/コルタクチン複合体がリング状であり、グアニンヌクレオチドの状態により複合体リングの開閉することを明らかにした。複合体のコンフォメーション変化の詳細を調べるために、原子間力顕微鏡によりリアルタイム観察を計画し、原子間力顕微鏡解析の第一人者である安藤敏夫教授(金沢大学)に共同研究を依頼し、承諾を得た。 3.ダイナミンによる微小管ダイナミクスの制御機構:神経細胞におけるダイナミンのシャルコーマリーツース病変異の影響を調べるために、変異ダイナミンを神経細胞に発現させるためのベクターを作成した。 4.アクチン線維束形成の動態観察:全反射顕微鏡によりアクチン線維束形成をリアルタイム観察するための最適条件を検討し、ローダミンアクチンを添加した脳細胞質を用いて試験管内におけるアクチン線維形成、アクチン線維束化を観察した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ダイナミンによる新規アクチンダイナミクス制御機構:コルタクチンのプロテインキナーゼリン酸化については、質量分析により既に同定している各リン酸化部位の生理的重要性を解析し、学術論文としてまとめる予定。 2.ダイナミン/コルタクチン複合体の構造解析:安藤敏夫教授(金沢大学)との共同研究により、原子間力顕微鏡を用いてダイナミン/コルタクチン複合体リングの開閉をリアルタイム観察する。 3.新規アクチン制御分子の探索:中村和行教授(山口大学)との共同研究により、質量分析によりダイナミン、コルタクチンとともにアクチン束化に機能するタンパクの網羅的解析を行う。 4.アクチン線維束形成の動態観察:全反射顕微鏡により、試験管内でのアクチン線維形成を観察するとともにアクチン線維束化におけるアクチンの動態を精査する。また、ダイナミン阻害剤や抗ダイナミン抗体を用いて、ダイナミンの機能阻害によりいったん形成されたアクチン線維束がどのような影響を受けるのかを観察する。
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