2013 Fiscal Year Annual Research Report
北陸と九州から大量出土した縄文時代早・前期人骨の形態・DNA・食性分析
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23370102
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
坂上 和弘 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究主幹 (70333789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
溝口 優司 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (00110106)
米田 穣 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30280712)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 縄文時代 / 人骨 / 縄文時代早期 / 縄文時代前期 / ミトコンドリアDNA / 食性分析 |
Research Abstract |
平成25年度は2010年度に出土した小竹貝塚出土人骨の形態、DNA、食性分析を行い、次のような点が明らかとなった。1)2010年度調査で出土した人骨は最小個体数で91個体存在し、男性の方が女性の2倍程多く、死亡時年齢も青年が最も多い。2)埋葬様式として、独特で前例を見ない改葬方法を行っていた可能性がある。3)男性の推定身長は縄文時代人としては極めてまれな高身長を示す個体が複数見られる。4)頭骨は全体的に小さく、短頭の傾向が強い。また、ロッカージョーの下顎骨を持つ個体や、抜歯風習を強く示唆する個体も見られた。5)他の早前期人と同じく、四肢骨は華奢な傾向が見える。6)ミトコンドリアDNAの分析では、東南アジアから中国南部に多く見られる南方系のハプログループ(遺伝子の型)とバイカル湖周辺や北海道縄文時代人に多く見られる北方系のハプログループが混在していることから、縄文時代前期にすでに、縄文時代中・後・晩期人を特徴づけるDNA型が認められ、縄文時代全体を通して遺伝的に連続していたことを示唆している。7)食性分析では、陸上生態系と海洋生態系を組み合わせた生業活動を行っており、とくに男性で食生活の個体差が大きいことが示された。 また、2009年度以前に出土した小竹貝塚出土人骨の形態分析結果の論文を現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった計画は順当に遂行している。報告書も作成し、比較データの蓄積も進んでいる。また、CT撮影も順次進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
岩下洞穴および小竹貝塚出土人骨の比較資料をより充実させる。東京大学、京都大学をはじめ、日本各地の縄文時代人骨を可能な限り数多くデータを収集する。
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