2012 Fiscal Year Annual Research Report
私有林経営における組織イノベーションに関する国際比較研究
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23380095
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡 裕泰 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, チーム長 (90353622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大田 伊久雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (00252495)
石崎 涼子 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 主任研究員 (10353575)
立花 敏 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50282695)
志賀 和人 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70334034)
堀 靖人 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 領域長 (80353845)
柿澤 宏昭 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90169384)
山本 伸幸 独立行政法人森林総合研究所, 関西支所, チーム長 (90284025)
久保山 裕史 独立行政法人森林総合研究所, 林業経営・政策研究領域, 室長 (90353672)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 林業経営 / 協同組合 / 木材流通 / ドイツ / オーストリア / スイス / フィンランド |
Research Abstract |
近年、欧州諸国の共同研究として、生産技術などの技術面に関するイノベーションのみならず、公私の団体の役割の見直しなどの組織・制度に関わるイノベーションの研究が進展していることが明らかとなった。 オーストリアにおける現地調査では、組織イノベーションとして、(1)1990年代以降の林業協同組合による中小規模森林所有者の木材共同販売の増加、(2)農林会議所および林業協同組合によるバイオマス事業の推進、(3)連邦有林株式会社の伐採量の削減、(4)中堅製紙企業4社出資による共同集材会社の設立、(5)大規模林産企業グループの集材子会社の対所有者サービスの向上等の事例がみられることが明らかとなった。また、スイスにおける調査では、組織イノベーションの事例として、(1)長期的に徐々に進展する経営体統合、(2)ルツェルン州における地域組織の設立、(3)各地で広がる木材マーティング組織の設立があること、近年目立って展開している(2)および(3)に強い影響を与えた要因として、a)州政府の行政改革、b)1999年の大風害による製材業の変化(大規模化や経営破綻の頻発)、c)連邦および州政府による支援策の存在があげられることなどが明らかとなった。ドイツにおける実態調査では、製材業における生産集中の進展により木材取引の大口化が求められた結果として、森林組合(FBGやWBV)による木材共同販売の拡大や連合組織の設立が広がっていることが明らかとなった。フィンランドにおける調査では、森林所有者共同組織の1つである森林管理組合(MHY)が法律に基づいて徴収する森林管理賦課金に着目して、成立から展開過程を調査し、同国の公私分担の有り様を検討した。これらの現地調査を通じて得られた情報や知見は、林業経済学会大会や森林総合研究所内セミナー「ヨーロッパの林業経営と木材流通」などにおいて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査を通じて、生産技術の変化や政府全体の行政改革の動向に対応した森林経営における組織イノベーションの実態把握ができた。成果の一部は原著論文となり、その他の成果の一部は学会発表されたほか、日本森林学会の普及誌における特集記事として、本研究の成果の発表にむけて準備ができた。 研究打合せ会議を開催し、現地調査の成果を相互に報告し合うとともに、今後の研究成果とりまとめに関する方針を確認できた。各地域における組織改革の背景、共通性と差異性などについても検討をはじめることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
私有林経営における組織イノベーションに関する国際比較研究として、昨年度までの成果をふまえて、各地域の対応の共通性や差異性を含めて、事例分析を深めるとともに、国際比較分析に関する会議を開催し、横断的な分析を行って、成果をとりまとめる。必要に応じて短期の追加的な現地調査を行うほか、これまで担当者の都合で実行できなかった米国についても新たに現地調査を行う。
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Research Products
(17 results)