2011 Fiscal Year Annual Research Report
組織化学と樹幹の振動現象による心材形成過程のモニタリング
Project/Area Number |
23380105
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
中田 了五 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター, 課長 (60370847)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 雄三 北海道大学, 大学院・農学研究院, 講師 (90226043)
黒田 克史 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (90399379)
船田 良 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (20192734)
今井 貴規 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20252281)
|
Keywords | 植物 / 樹木 / 心材形成 / 組織化学 / 振動 |
Research Abstract |
心材の形成機構を明らかにするために心材の形成過程を総合的にかつ詳細に解析することを目的に、本研究では心材の形成に伴い木部に生じる変化を四要素に大別して各要素に対するモニタリング技術の開発を行う。23年度はスギとカラマツを材料にモニタリングの手法開発を中心に研究を行った。 1放射組織柔細胞の細胞死の過程の組織化学的可視化 核の形態、貯蔵物質(デンプン及び脂質)の存在、心材成分の分布の同時モニタリングのために、各種染色法と自家蛍光による観察を行った。自家蛍光により心材成分もしくはその前駆体と考えられる物質が観察され、各種染色法によって観察できる心材化の進行と整合した。 2組織化学による心材成分のin situ localization GC-MS等により、心材成分の樹幹内放射方向分布の定量と心材成分の決定を行い、その化学構造から前駆体及び誘導体を予測し、それらの標品を用いてin situ localizationのための基礎データを得た。 3樹幹の振動現象による水分状態の変化の非破壊モニタリング 樹幹の振動を強制的に励起して振動を観測する方法について、メーカーデモ等により機器の選定のための基礎データの収集を行った。さらに、既存のモニタリング手法である横打撃共振法による実用的な高精度化を試みた。交流電圧を利用して生立木樹幹のインピーダンスを測定することによる水分状態モニタリング手法開発に着手し、モニタリングを実施した。 4細胞壁の変化における芳香族物質堆積過程の動的追跡 仮道管及び放射柔細胞の細胞壁、特に壁孔壁への芳香族物質の堆積とその物質の輸送体の観察を、高解像度電子顕微鏡・紫外線顕微鏡・共焦点レーザー走査顕微鏡・組織化学的染色法を利用して行った。カラマツでは、壁孔壁上の堆積物が主要心材成分であるフラボノイドとは異なることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響により補助金の入金や研究の進行が遅れるなどの障害があったものの、モニタリング手法の開発のための基礎データの収集が達成できた。よって、24年度からモニタリングの本格的実施が可能となったため、おおむね順調と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
定期的な非破壊での樹幹振動測定と試料のサンプリングを実施する。23年度に引き続き組織化学的観察手法の検討を進め、さらにサンプリング試料の観察を実施して心材形成の季節変化のモニタリングを行う。細胞死と心材成分in situ localizationの同時観察の可能性が高いことがわかったため、木材細胞イメージングの専門家を新たに研究分担者として加え、精力的に研究を進めることとする。また電気的な樹幹水分非破壊モニタリングのため、新たに連携研究者を加えることとする。
|
Research Products
(2 results)