2012 Fiscal Year Annual Research Report
組織化学と樹幹の振動現象による心材形成過程のモニタリング
Project/Area Number |
23380105
|
Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
中田 了五 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター, 課長 (60370847)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐野 雄三 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90226043)
黒田 克史 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (90399379)
船田 良 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20192734)
半 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40627709)
今井 貴規 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (20252281)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 植物 / 樹木 / 心材形成 / 組織化学 / 振動 |
Research Abstract |
心材の形成機構を明らかにするために心材の形成過程を総合的にかつ詳細に解析することを目的に、本研究では心材の形成に伴い木部に生じる変化を四要素に大別して各要素に対するモニタリング技術の開発を行う。24年度は、樹幹の振動現象を利用した非破壊計測と平行して、定期的な材料の破壊的採取を行い心材形成の各要素の季節的変化を観察した。 1 23年度の研究結果の共有と24年度の研究の進め方を協議するために年度当初にミーティングを実施した。 2 3ヶ月に一度の伐採と1ヶ月に一度の成長錐による定期的な試料採取を行った。採取試料は共有してそれぞれの担当する組織化学的分析に供試した。 3 開葉落葉などの季節変化の観察、月2度の樹幹振動による非破壊モニタリング、月1度の電気インピーダンスによる非破壊モニタリング及び水ポテンシャル測定を実施した。水ポテンシャル測定では、成長錐での試料採取によりサイクロメータで測定した木部の日中の水ポテンシャルにスギとカラマツで類似した季節変動パターンが認められた。ところが、カラマツでは辺材にくらべ常に心材の水ポテンシャルが低いのに対し、スギでは辺材にくらべ心材の水ポテンシャルが春は高く秋は低いという傾向が認められた。 4 カラマツ心材成分のin situ localization観察のために標品を使った実験をすすめるなど、23年度に引き続き組織化学的手法の開発に取り組んだ。同時に継続的に採取した試料を用いて心材形成の季節変動をモニタリングした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
継続的な非破壊測定と材料採取、及び採取した材料の組織化学的観察により、心材形成の各要素の季節変化を順調にモニタリングすることができているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
定期的な非破壊での樹幹振動及び電気的測定と試料のサンプリングを継続する。23年度及び24年度の成果を元に組織化学的観察手法の検討をつづけるとともに、採取した材料を用いて心材形成の季節変化をモニタリングする。24年度に導入した樹幹振動解析システムにより、振動を利用したモニタリング手法の高精度化のための検討を進める。 25年度は研究計画最終年度にあたるので、これまでの成果を取りまとめ、心材形成の四要素の相互関係を考慮しつつ、 心材の形成過程を総合的に解析する。樹幹の振動現象による非破壊測定の結果と定期的サンプリングによる組織化学的分析結果をあわせた総合的な解析を行う。ここで、比較と総合により単一項目のみでは解決できない問題の解決を図る。総合考察を経て心材形成のモニタリング技術の開発を達成し、これまでに得られたデータから心材形成の季節性を考察する。
|