2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380119
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
荒木 和男 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (00202739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡内 正典 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40372023)
尾崎 照遵 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (40416045)
岡本 裕之 独立行政法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (50372040)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 育種 / ヒラメ / 遺伝子発現 / 分子カスケード / 耐病性 / レンサ球菌 |
Research Abstract |
本研究では、QTL解析により同定されたDNAマーカーを用いて選抜育種したレンサ球菌抵抗性のヒラメがどの様な分子カスケードの活性化によりハダムシ抵抗性の表現型を獲得したかを解明することを目的にしている。本年度は、昨年度の研究でレンサ球菌抵抗性の家系で感染後に発現が増加することが分かっている遺伝子(インターフェロン、インターフェロン制御因子、Toll2, MHC遺伝子、TNF、NKEF、IL-1、マクロファージ活性化因子、ガレクチン、セリンプロテアーゼ)を物理地図にマッピングを行った。また、抵抗性家系、感受性家系、市販のヒラメを材料に、レンサ球菌抵抗性の家系特異的な一塩基多型がこれらの遺伝子のコーディング領域にないかについて調べた。また、レンサ球菌ワクチンを投与しても発現増強が見られるかについて調べた。その結果、上記遺伝子のうちTNFとNKEFはレンサ球菌抵抗性と連鎖する連鎖群10番にマッピングされた。特にTNFは選抜に用いたマーカーの近傍にマッピングされた。この2遺伝子以外は免疫応答関連遺伝子が多く存在する連鎖群15番にマッピングされた。現在のところ、これらの遺伝子のコーディング領域にはレンサ球菌抵抗性の家系特異的な一塩基多型は見つかっていない。しかし、もしTNFのゲノム遺伝子の発現調節領域上に特異的な一塩基多型が見つかればレンサ球菌抵抗性を制御する原因遺伝子の有力な候補となる。また、レンサ球菌用のワクチンを投与したところ、インターフェロン制御因子、Toll2、TNF、NKEF、IL-1、マクロファージ活性化因子の発現の増強が見られた。ただ、感染実験を行った場合と異なり、感受性の家系の個体でもこれらの遺伝子の発現の増加が見られた。以上のことから、TNFが抵抗性に関連する可能性、ワクチンの効果は育種の効果を超える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定の種類の遺伝子についての物理地図へのマッピングとワクチン投与後の発現解析、レンサ球菌抵抗性の家系の個体特異的な一塩基多型について解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、レンサ球菌抵抗性の個体の頭腎でレンサ球菌感染後に感受性の個体より発現が高くなる自然免疫に関与する遺伝子について他の手法で解析して再現性の確認を行う。これらの遺伝子のうちレンサ球菌抵抗性に連鎖する遺伝子座に存在する遺伝子について、発現が高くなる原因とる一塩基多型が存在しないか発現調節領域も含めて解析を進める。得られた情報をもとに、レンサ球菌抵抗性に関与する分子カスケードの推定を行う。
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Research Products
(1 results)