Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 靖 九州大学, 熱帯農学研究センター, 教授 (70128114)
森 牧人 高知大学, 自然科学系, 准教授 (60325496)
原田 昌佳 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (80325000)
福田 信二 九州大学, 熱帯農学研究センター, 助教 (70437771)
齋 幸治 高知大学, 自然科学系, 准教授 (30516117)
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Research Abstract |
本研究では,窒素・リンを対象に,都市化・混住化が進むアジアモンスーン地域の農業流域圏における,陸海域を統合した流域圏水環境解析モデルを構築する.まず,陸域を対象にGIS援用分布型流域負荷流出モデルを,閉鎖性内湾を対象に3次元水理学-生態系モデルをそれぞれ開発する.その際,衛星リモートセンシング技術や人工知能技術なども援用する.次に,両モデルを統合した流域圏水環境解析モデルを用い,各種の負荷削減策の実施等の水質保全対策に対するシナリオ分析を行い,水質総量規制を含む,流域圏水環境の改善のロードマップを提言する. 初年度となる平成23年度はその基礎のなる素過程のモデリングを重点的に行った.すなわち,農業用貯水池を対象に,水質動態を連続観測するとともに,ウェーブレット解析によるノイズ処理プリプロセッサーを付加したカオスニューラルネットワークによるクロロフィルa時系列の短期予測モデルや,水域の酸化還元電位と硫化物濃度のプロファイルを加味した鉛直1次元生態系モデルの開発を進める一方,浅海域では海域流入後の栄養塩の動態追跡シミュレーションモデルの開発を進めた.さらに,流域圏における栄養塩のフローを上流の山地域から沿岸浅海域まで俯瞰的,統合的に追跡する分布型栄養塩負荷流出モデルの開発を進めた.一方,ベトナム紅河デルタの農業流域におけるモデル構築を進めるため,ベトナム農業開発省(Vietnamese Ministry of Agricultureand Rural Development),ハノイ水資源大学(Hanoi Water Resources University),ハノイ農業大学(Hanoi University of Agriculture)の協力を得て,同流域における標高,生産基盤,土地利用,用排水路,などの流域数値情報の収集を進めるとともに,低平地である同流域の特徴を反映させたプロトタイプモデルの開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では4組のグループからなる研究組織,すなわち面源負荷グループ,GIS流域解析グループ,閉鎖性湖沼グループ,閉鎖性海域グループを構成し,研究代表者がこれらを統括し,各グループの研究成果を互いに共有しつつ研究を進めることにしている.平成23年度は4グループともに素過程のメカニズム解明とそのモデリングをジュ打て陰的に進める予定であったが,4グループともに当初計画通りの成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
陸海域を統合した流域圏水環境解析モデルを開発するため,「11.現在までの達成度」で述べたように,4グループからなる研究組織で研究を進める.面源負荷グループとGIS流域解析グループは連携してGIS-・based流域負荷流出モデルを構築する.両グループの成果を入力として,閉鎖性湖沼グループと閉鎖性海域グループは3次元水理学.生態系モデルを開発する.その際,国内の精査海域・流域でプロトタイプモデルを開発し,海外の応用海域・流域で適用検証する.得られたモデルを統合した流域圏水環境解析モデルを用いたシナリオ分析から,水質総量規制を含む,水環境改善に向けた最適なロードマップを提言する.現時点で「研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点」は特にない.
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