2012 Fiscal Year Annual Research Report
気候変動下の植物生産における夜温の生理生態的評価と省エネルギー管理
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23380150
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北野 雅治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30153109)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安武 大輔 高知大学, 自然科学系, 准教授 (90516113)
日高 功太 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター, 研究職員 (80547232)
荒木 卓哉 愛媛大学, 農学部, 准教授 (10363326)
江口 壽彦 九州大学, 生物環境利用推進センター, 助教 (40213540)
圖師 一文 宮崎大学, 農学部, 准教授 (50435377)
森 牧人 高知大学, 自然科学系, 准教授 (60325496)
安永 円理子 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00380543)
吉田 敏 九州大学, 生物環境利用推進センター, 准教授 (90191585)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 夜温 / 気候変動 / 植物生産 / 夜温管理 / 生理生態 / 省エネルギー / 生体計測 / 耐凍性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,気候変動下の夜温の上昇・変動傾向の特徴を明らかにし,植物の生理生態(栄養成長,生殖成長,低温順化)に対する夜温の影響を調べ,気候変動下の植物生産における夜温管理の生理生態的意義を検証するとともに,省エネルギーでの夜温管理の方法を提案することである。 初年度の23年度は,まず実験圃場,施設,対象の選定,実験系の構築と設置および測定と解析手段の確立を,大分県東部(果樹),福岡県南部と西部(果菜),九州大(果菜,葉菜),高知大(果菜)および福岡県と熊本県(チャ)で行った。 24年度においては,夜温管理の生理生態的意義の科学的解析と新規に構築した省エネルギー夜温管理法の効果の検証を周年で実施した。まず,夜間の最低温度の形成機構に基づいて,チャ樹の最低温度(体温)予測の課題を開始した。次に,果樹,果菜,葉菜およびチャの生産現場または実験施設において,夜温等の環境要素の連続測定を行うとともに,インタクトの植物の呼吸,転流,肥大・伸長,養水分吸収等の測定を実施した。特に,転流の動態,ソース・シンク関係,師管液フラックス,果実呼吸と夜温等との関係を調べ,果実の肥大,師部輸送等に対する夜温等の影響を解析し,新たな転流モデルおよび夜温管理法の検討を進めた。根に関しては,23年度までに構築した速度論的イオン吸収モデルに基づいて,多量必須元素の吸収に対する温度効果を評価した。また,果菜の周年栽培に向けた省エネ局所夜温管理法を提唱し,その効果を検証した。さらに,チャにおいて,耐凍性関連適合溶質を明らかにし,冬季の夜温(積算低温)と耐凍性関連適合溶質の消長との関係を解析するとともに,夜間の植物体の熱収支解析,最低温度の評価および凍霜害防止対策を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,課題,場所,測定対象,測定システム等が多岐にわたるが,それぞれの課題に対して,場所と測定対象の選定と測定システムの構築が終了し,多様な植物の生理生態に対する夜温の影響および省エネルギー夜温管理に関する成果が出ている。夜間の植物体温の形成機構および気候変動下の夜温の上昇・変動傾向に関しては,観測は進んでいるが解析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
多岐にわたる課題,場所,測定対象において,多様な植物の生理生態に対する夜温の影響および省エネルギー夜温管理に関するデータが集積されているので,最終年度においては,これらのデータを総合的に解析し,植物生産における夜温管理の意義を科学的に検証するとともに,持続可能な省エネルギーでの夜温管理の方法を提案し,生理生態的効果と省エネルギー効果を検証する。
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Research Products
(29 results)