2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23380172
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
本道 栄一 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30271745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 直子 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90377789)
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Keywords | 胚着床 / 子宮内膜 / 幹細胞 / 組織再構築 / マウス |
Research Abstract |
本年度は、まず、マウスの完全生殖周期がプロジェステロンとエストロジェンにどの程度依存しているのか、プロジェステロンとエストロジェン以外の卵巣因子が同周期に必要なのかどうかについて検討を行った。妊娠3日目に卵巣を除去し、プロジェステロンの持続投与および、妊娠4日目のエストロジェンの刺激、および胎盤形成期へのエストロジェンの持続投与、さらに、分娩期におけるプロジェステロン除去により、卵巣がないまま、プロジェステロンとエストロジェンのみの作用で妊娠が成立し、分娩まで至ることを明らかにした。つまり、プロジェステロンとエストロジェンを適切な時期に投与することで、マウスの完全生殖周期は維持され、内分泌器官としての卵巣は必要がないことが明らかとなった。そこで、非妊娠マウスを用いて、プロジェステロンとエストロジェンの子宮内膜間質細胞への単独作用を明らかにすることを試みた。性成熟に達した非妊娠マウスより卵巣を除去し、卵巣形態の経時変化を電子顕微鏡にて観察した。3週間までは、子宮内膜間質細胞は退行性変化を示すが、それ以降8週齢までは全く変化しなかった。従って、卵巣除去後3週間の子宮の間質細胞の退行性変化を詳細に調べると、卵巣除去前の間質細胞数も卵巣除去後3週間の間質細胞数も変化しなかった。子宮の肉眼的な大きさは大きく変化するため、細胞の微細構造を調べると、細胞質の体積が著しく減少し、核には異染色質が増え、間質細胞の活性が著しく落ちていることが明らかとなった。そこへ、プロジェステロンとエストロジェンを別々に投与した。するとエストロジェンを投与した群においてく間質の様々な細胞においてLIFの発現、さらにリン酸化STAT3の発現が誘導された。さらに様々な脱分化因子の発現量も変化した。エストロジェンは着床誘導因子として考えられてきたが、その他、子宮内膜間質細胞の分化・脱分化に強く関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
子宮間質細胞におけるリン酸化STAT3の発現部位が明らかになったこと、様々な分化・脱分化因子の発現量の変化が明らかとなったことから、およそ幹細胞の目星がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜間質細胞の同定に向け、LIF発現細胞とリン酸化STAT3細胞の位置関係を調べること、さらに分化・脱分化因子の共存を調べることにより、いくつかの幹細胞の同定、またそのニッチを明らかにすること。
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Research Products
(5 results)