2011 Fiscal Year Annual Research Report
グレリン、ニューロメジンU/Sによる自律神経様作用の生理・生化学的解析
Project/Area Number |
23380173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Basic veterinary science/Basic zootechnical science
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中原 桂子 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90315359)
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Keywords | グレリン / ニューロメジン / 自律神経 / 血圧 / 体温 |
Research Abstract |
本研究では、下記の計画を実施し、重要な知見を得た。1)グレリン、ニューロメジンU,Sおよびレプチンの恒常性維持について:ア)レプチンの1日2回朝夕の投与により、走行運動は増加し、呼吸商は有意に減少した。特に2回目の投与から呼吸商の減少が顕著に見られた。酸素消費量はレプチン投与により増加の傾向を示したが、有意な差は認められなかった。一方、グレリンの腹腔内投与は先のレプチンとは逆に、呼吸商を有意に上昇させた。一方、酸素消費量(熱生産量)には影響しなかった。走行運動はグレリン投与によって減少したが、2日間の合計では有意な差は認められなかった。これはグレリンを投与する事で5分以内から摂食の亢進が起こるために、摂食亢進による一時的な減少と考えられた。そこで、グレリン投与直前に餌を外して投与し、走行への影響を調べた結果、グレリン投与直後の走行運動の低下は認められなかった。ニューロメジンSおよびUの1nmolをラットの側脳室に投与すると、体表体温の有意な上昇が認められた。経時的な図は省略したが、生理食塩水投与では投与後に0.5度近くの上昇が起こったのに対し、ニューロメジンSとUでは20分まで上昇し続け、約1.5度近く上昇した。またこの上昇は1時間近く維持された。またニューロメジンSの0.1nmol投与は褐色脂肪のss3アドレナリン受容体とミトコンドリア非共役蛋白質UCP1の遺伝子発現を有意に増加させた。同量のニューロメジンUでは有意差は認められなかった。 以上の結果、グレリンは運動や代謝に極めて消極的(抑える方向)な作用であることが推測される。このことは同化作用を促進し動物の恒常性を増体に向かわせるための物質かも知れない。一方、ニューロメジンはグレリンと相反的な作用を示した。このことは、ニューロメジンがグレリンと逆に異化作用を促進する物質と推測できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの計画を遂行し、以下の結果を得た事から順調に伸展していると評価できる。1.ニューロメジンSがevening oscilatorに作用し、暗期開始時の活動に関与していることが示唆された。2.グレリンとレプチンの走行運動、酸素消費量および二酸化炭素排出量に対する効果は相反的であることが示唆された。3.ニューロメジンSの体温増加作用とそのメカニズムが示された。4.グレリンとデスアシルグレリンの中枢投与は背中の体温を下降させ尾部の体温を増加させるが、末梢投与ではデスアシルグレリンのみ尾部の体温を増加させる(血管を拡張させる)ことが判明した。またその効果は副交感神経遮断薬で阻止された。5.グレリン及びデスアシルグレリンの両方共に中枢投与では血圧と心拍数の低下を起こした。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進捗しているので、予定どおり、平成24年は下記の項目を検討する。 これまでの研究で、末梢でのグレリンの摂食促進作用は迷走神経節でグレリンの受容体が合成され、これが軸索輸送で胃や肝臓、門脈などの神経終末に運ばれ、そこで、胃から分泌されたグレリンと結合して求心性に中枢へ作用することが判明している。また最近では、レプチン受容体が迷走神経節に存在することも確認した。しかし、(1)求心性の情報がどこを経由し、(2)最終的にどの伝達物質を介して、(3)どこに作用するのか、は不明である。そこで、この末梢グレリンあるいはレプチンの末梢からの作用機構を(1)~(3)を明らかにすることで解明する。
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