2012 Fiscal Year Annual Research Report
グレリン、ニューロメジンU/Sによる自律神経様作用の生理・生化学的解析
Project/Area Number |
23380173
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中原 桂子 宮崎大学, 農学部, 准教授 (90315359)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | ニューロメジンS / グレリン / 自律神経 / 血圧 / 体温 |
Research Abstract |
NMSの体温に及ぼす影響を検討した。NMSの側脳室投与によって明期、暗期ともにラットの体表温度上昇が見られたが、その効果の強さには明期と暗期で違いがあった。明期ではNMS0.5、1.0nmolの側脳室投与で体表温度の上昇がみられたが、0.1nmolでは上昇は見られなかった。一方で、暗期では、NMS0.1、0.5、1.0nmolの全ての濃度で1℃以上の有意な体表温度の上昇がみられた。ノルアドレナリンβ1、2受容体遮断薬であるTimololの前投与を行った。その結果、Timololの前投与後saline投与群およびTimolol前投与後NMS投与群共にその体表温度の変化に有意な差は認められなかった。この結果は明期と暗期の両方において同じ様に見られた。 次にノルアドレナリンβ3受容体選択的遮断薬であるSR59230Aの前投与実験を行った。まず明期、暗期においてSR59230A前投与後salline投与群ではその体表温度の変化量の値はほとんど変化がなかったのに対して、SR59230A前投与後NMS投与群ではNMS投与による体表温度上昇が有意に抑制された。 中枢において体温上昇に関与するプロスタグランジンE2(PGE2)との関与を調べるために、PGE2の合成に必要なシクロオキシゲナーゼを阻害するインドメタシンを用いた。明期においてインドメタシン前投与後salline投与群ではその変化量の値にほとんど変化がなかったのに対して、インドメタシン前投与後NMS投与群ではNMS投与による体表温度上昇は完全に抑制され、saline投与群とほとんど同じ値を示した。暗期においても同様にインドメタシン前投与によってNMS投与による体表温度上昇は有意に抑制された。 以上の結果、NMSが体温の調節に重要な役割を果たしており、その作用は交感神経系およびプロスタグランディン合成系を介してのものと推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りの計画を遂行し、以下の結果を得た事から順調に進展していると評価できる。理由として、ニューロメジンSの体温上昇作用を発見し、その作用機序を解明することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進捗しているので、予定どおり、平成25年は当初の計画通り、研究を遂行する。 即ち、今回の研究データーをもとに、KOマウスを用いて、自律神経系のパラメーター(心拍数、呼吸商、体温、排泄など)を測定し、周波数解析で交感神経と副交感神経のバランスに異常が認められるか否かを検討する。また、ニューロメジンUおよびSの中枢投与によって、代謝、循環器系、呼吸器系、運動系、排泄系がどのように変化するのか、それらのパラメーターを測定する。
|