2011 Fiscal Year Annual Research Report
チャおよびイネにおける自然共生型の植物防除生産技術の開発
Project/Area Number |
23380191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Boundary agriculture
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
木村 園子ドロテア 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60397015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 祥穂 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 助教 (40345062)
大津 直子 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 助教 (40513437)
佐藤 かんな 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 助教 (40456603)
鈴木 創三 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 教授 (30137898)
仲井 まどか 東京農工大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (60302907)
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Keywords | お茶 / イネ / ダニ / チャハマキ / エコバランス評価 / 亜酸化窒素 / 土壌断面 / 肥培管理体系 |
Research Abstract |
本研究では、日本の主要作物であるイネとチャをモデルケースとし、有機・無農薬栽培の効果はなぜ不安定なのか、という問題解決のために、植物の健康を主眼とした自然共生型の栽培技術の体系化を行う。23年度では、現状調査のため、埼玉県、静岡県、京都府、熊本県において、聞き取り調査を行い、茶園に土壌断面を作成し、土壌の調査およびチャの品質について調べた。各地の茶園では、肥培管理方法が大きく異なり、茶園の地理的条件、土壌条件、加工体制、市場への販売等、多様な要因によることが示唆された。茶園内では、畝間と樹冠下におけるpHは表層において0.1~O.3程度畝間のほうが小さい傾向を示した。また、pH(H_2O)よりpH(KC1)が高くなる現象が見られ、肥培管理方法の土壌pHへの影響をより精査する必要が明らかになった。 農工大の圃場で作成した、圃場レベルの試験区では、(1)無施肥区、(2)慣行肥料区(堆肥36 N kg/ha/年、硫安600 kgN/ha/年)、(3)化学肥料区(硫安960 kgN/ha/年)(4)半減区(慣行の半量)を設定し、害虫の発生状況およびチャ葉の品質の影響を調べた。1番茶(5月)、2番茶(8月)、3番茶(10月)の計三回のサプリングを通じて茶葉の全窒素量の高くなる地点は変動した。ハマキは、全三回のサンプリングを通して圃場の中央において密度が高くなる傾向が見られた。圃場の中央には有機肥料が用いられている慣行肥料区および半減区があり、有機肥料が密度に影響した可能性があると考えられた。チャノナガサビダニは、第一回及び第三回では、全窒素が多く含まれる地点において密度が高かった。5月、10月はチャノナガサビダニの発生のピークであり、風によって全窒素が多く含まれる場所へ移動した個体の摂食活動が促進され、密度が増加したと考えられた。以上の結果より、全窒素量とダニに関連があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では、日本のいくつかの産地において調査を開始し、肥培管理方法の特徴を調べることを主な目的としていた。昨年、埼玉、静岡、京都、熊本へ調査に行くことができ聞き取り調査を行い、土壌、お茶のサンプルを採取することができた。また2年目に開始する予定であった圃場レベルの実験系の準備も整った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では、平成23年度に引き続き、現状調奪のため研究対象地を訪れ、季節による変化を解析する。また、現地調査の結果を踏まえ実験系を作成し、栽培技術によって影響される植物の健康状態、害虫の発生状況、環境負荷の発生状況のメカニズム解明について検討を進めるために、モデル実験を行う。チャのモデル実験では、異なる施肥条件下における苗を栽培し、施肥を始めてから数週間後より少量の新芽を採り、葉中の窒素量の測定を開始し、虫への施用実験を行う。
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