2011 Fiscal Year Annual Research Report
グルタチオンを用いて植物に蓄積するカドミウムの量を減らす-その分子機構の解明
Project/Area Number |
23380194
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
中村 進一 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (00322339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤巻 秀 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用部門, 研究員 (20354962)
鈴井 伸郎 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用部門, 研究員 (20391287)
中井 雄治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特任准教授 (10321788)
大津 直子 東京農工大学, 農学部, 助教 (40513437)
頼 泰樹 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (30503099)
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Keywords | グルタチオン / カドミウム / PETIS |
Research Abstract |
本研究の目的は、生物界に広く分布する生理活性物質であるグルタチオンを植物の根に部位得的に与えることによって植物体の地上部に蓄積するカドミウムの量が低減する現象の分子メカニズムを明らかにすることである。平成23年度は、それぞれの研究テーマにおいて平成24年度以降の研究を推進していくための研究基盤の整備を行った。 グルタチオンを植物の根に部位特異に与えた場合に、植物の根におけるカドミウムの分布に変化が見られた。細胞質に存在するカドミウムの量が有意に減少し、その一方で細胞壁等に存在するカドミウムの量が増加していた。また、グルタチオン、ファイトケラチンをはじめとする含硫化合物をHPLC法を用いることで簡易に測定する実験系を構築した。今後は根に与えたグルタチオンがどのような挙動をしているのかを明らかにし、その作用機作を解明していく予定である。さらに、根におけるグルタチオンの合成能を強化した植物を創製する研究テーマでは、当該タンパク質を根で特異的に発現させるプロモーターにグルタチオンの生合成に関連する酵素タンパク質の遺伝子を繋いだコンストラクトを作成して、組換え体植物を創製することを試みている。 ポジトロン放出核種画像化システム(PETIS)を用いて、非侵襲な状態でアブラナ体内のカドミウムの動態を可視化する実験では、根に部位特異的に与えたグルタチオンによってカドミウムの植物体の地上部への移行が抑制されている様子を再現性よく撮像することができ、今後の数的解析に向けてのデータを蓄積することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、申請研究の最初の年であったため、それぞれの研究テーマで計画された研究内容は2年目以降にそれぞれの研究を大きく進展させていくための土台作りとなるものであった。当初の実験計画に基づき、それぞれの研究者がそれぞれの研究テーマに着実に着手し、今後に向けての実験系を構築(データ採取)をすることができたため、上記のような目標達成度と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度に得られたそれぞれの研究成果を元に、グルタチオンが植物体の地上部に蓄積するカドミウムの量を減らす現象の分子機構を明らかにすることを目指す。H23年度はおおむね研究計画通りに研究を推進することができたことから、その研究結果を踏まえて、それぞれの研究テーマをさらに推進していくことでグルタチオンがどのようにして植物体の地上部へのカドミウムの移行と蓄積を抑制しているのかに迫る。
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Research Products
(2 results)