2012 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子による幹細胞制御のシステム統合解析による分子機構の解明
Project/Area Number |
23390062
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 客員研究員 (10251448)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 細胞・組織 |
Research Abstract |
研究の業績 1. EGFシグナルの乳腺幹細胞並びに乳癌幹細胞の制御機構の解析 FRS2betaが、正常乳腺細胞では前駆細胞に、癌組織では癌幹細胞に発現することがわかった。FRS2betaが発現する癌幹細胞では、IGFを始めとする多くのサイトカインの発現が上昇し、これにより癌幹細胞維持並びに癌幹細胞によるニッチの利用が行われていることがわかった。FRS2betaKOマウスにできた乳癌は、癌幹細胞が少ないために、分化が促進され、良性化していることが示唆された。癌が出現する授乳期乳腺細胞ならびに癌細胞のスフェア培養を行うと、IGF始めサイトカインは、WT>KOである一方、分化マーカのCK18、CD14はWT<KOであり、示唆された概念を支持した。FRS2betaKOすると、細胞内ERKの活性化が上昇する。これと細胞分化、癌幹細胞の減少との関わりについて、今後、詳細な解析が必要になってくる。エピゲノム解析も行うために、授乳期乳腺細胞ならびに癌細胞の接着培養の系も立ち上げることが必要である。 2. FRS2alphaコンディショナルマウスが完成した。防衛医大・佐藤泰 講師との共同研究を開始、防衛医大へnestin-Creマウスとの掛け合わせのために、マウスを送付、先方にて掛け合わせを開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 FRS2betaが、癌幹細胞で機能していることは、予想外の発見であり、その分子機構を解明することにより、癌幹細胞たりえる仕組みが明らかになると考えられる。 FRS2alphaコンディショナルマウスは、現在loxが入った状態であり、特に問題なく交配可能である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進 FRS2betaノックアウトマウスのさらなる解析と、ヒト臨床検体を用いてFRS2betaが癌幹細胞分画に発現しているのかどうかなど、ヒト癌での役割も詳細に調べる。 FRS2alphaコンディショナルマウスと、各種モデルマウスとの掛け合わせを行い、FGFシグナルの組織特異的な役割を調べる。
|