2011 Fiscal Year Annual Research Report
感染症に対するインターフェロンラムダ3の応答性とその特異的な機能の解明
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23390117
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
溝上 雅史 独立行政法人国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, センター長 (40166038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 善幸 名古屋市立大学, 自然科学研究センター, 教授 (70353430)
村田 一素 国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 室長 (40345971)
伊藤 清顕 国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 室長 (50551420)
杉山 真也 国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 上級研究員 (20612427)
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Keywords | インターフェロンラムダ / 転写 / シグナル伝達 / 進化 / 受容体 |
Research Abstract |
申請者らは,IL-28Bの機能と生物学的意義の解明のために,シークエンス技術と分子進化学的な解析を進めることでIFN-λ遺伝子ファミリーの進化の過程での変化とその機能を解明することを目的とした.また,これまで確立されていなかったIL-28B特異的な検出系を樹立することも並行して実施した.進化学的な解析については,本年度に12匹分チンパンジーゲノムのIFN-λ遺伝子ファミリーを含む周囲の約90kbのシーケンスを完了した.この他に,チンパンジー亜種の検体や近縁種であるゴリラ、オランウータン、ボノボ、テナガザルのゲノムを収集することに成功したため,これらを来年度で高速シーケンサーによるシークエンスを実施することで,より確度の高い分子進化学解析を可能とする.本年度で得られたデータで一時的な解析をしたところ,チンパンジーとヒトの間で正の選択が強く働いたコドンや遺伝子変換が生じた形跡を確認した.他種の正確なシークエンスデータを追加することで明確な結果を得られると期待される. IL-28B特異的な検出系としては,各IFN-λ遺伝子のmRNAを個別に定量するリアルタイムPCR系(感度:10コピー,特異度:10^7コピー)と,分泌されたIL-28B蛋白質の定量用にELISAとCLEIA(感度:0.1pg/mL)の開発を完了させた.市販の抗体では,IL-28A/Bを分離して定量することが出来ないことを確認しており,本検出系がこの研究分野で有用なツールとなると考えられる.来年度では引き続き,IFN-λ1とλ2に対する特異的モノクローナル抗体の取得を進め,順次ELISAへと応用していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チンパンジーのゲノム解析においては,繰り返し配列の影響でシークエンス作業に時間を要したが,プライマー配列等の最適化でほぼ全例での良好なシークエンスを可能とした,また,その結果を他の霊長類に反映することもできたため,アウトグループとするためのオランウータン等のシークエンスも順調に進めている.IL-28B定量系に関しても,論文化し共同研究先に技術を提供できている.
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Strategy for Future Research Activity |
チンパンジーと近縁種についてもIL-28A,28B,29周囲のシークエンスを完成させることで,今まで正確に読まれていなかったこれらの配列を保管する.それを元に分子系統解析することで進化の過程で相同性が高いこれらの3遺伝子がどのように分岐したか明らかとする.また,各生物種の遺伝子をクローニングし,in vitroによる機能比較することで実際の機能についても解析をすすめる.
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Research Products
(34 results)