2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390120
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬谷 司 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10301805)
|
Keywords | 自然免疫 / Toll-like receptor / 樹状細胞 / TICAM-1 / IPS-1 |
Research Abstract |
抗ウイルスの宿主制御応答は急性期のインターフェロン(IFN)シグナルとその後の細胞性免疫の起動が特に重要である。近年核酸パターン認識レセプター(PRR)と複数のシグナル系がIRF の活性化に連動することが示され、ウイルスによるtype I IFNの誘導機構が解明の途についた。しかし、ウイルスRNAの初期認識機構、ウイルス感染が樹状細胞(mDC)を介してNK細胞・CTLを起動する機構は明らかでない。本研究では種々のマウスモデル(HCV, HBV, PV, MV)を使って各種RNAウイルス抑制に有効なIFN応答、NK, T細胞免疫の起動に必要な樹状細胞活性化経路を同定し、抗ウイルス応答を分子機構として解明することを目指す。 HCVについてはマウスモデル系が完成に至らず、細胞培養系を新たに作製・確立した(PLoS ONE 2011)。マウス肝細胞にIPS-1 KO, MyD88 KO, TICAM-1 KO, IRF-3/7 KOなどを導入してレプリコン複製時・感染時に各種エフェクターがそれぞれどの様に誘導されるかを査定した。Genechip, Lentivector の遺伝子導入系、siRNAなどを用いて、エフェクター誘導の鍵となる(樹状細胞の)分子を同定した。IFN-inducing genes に新規遺伝子を加えて、樹状細胞MyD88 とCTL誘導、TICAM-1とNK活性化、IPS-1 のエフェクター誘導の意義を指向するような分子を網羅的に抽出した。IRF-3/7依存性・非依存性の抗ウイルス機構についても検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HCV感染のモデルマウスの作成が遅れたため、感染ウイルス応答と免疫エフェクター解析の遅れにつながった。それ以外は予定通りに進めることができた。HCV 感染性のマウス培養肝細胞は2011年末に樹立できたので、4か月遅れで抗ウイルスの応答の分子機構の解明に入った。一部現在も進行中であるが、樹立株の報告は行った(PLoS ONE 2011)。同様にpositive strandのRNAウイルスであるポリオウイルス(PV)はMAVS経路よりTICAM-1経路がcriticalにウイルス感染抑制に関与することがPVRtg/TICAM-1-/- マウスとPVRtg/MAVS-/-マウスの感染比較実験から判明した(J Immunol 2012)。麻疹ウイルス(MV)は初期感染が樹状細胞に依存することをCD150tgマウスで報告したが(J Immunol 2005)、今回の研究でMyD88-IRF7経路であることが判明した。CD4+ DCとplasmacytoid DCが主たるMVのリザバーとなる(PLoS Pathog. submitted)。HBVはまだ系ができていない。 一方、MAVS依存性経路が初期ウイルス感染の鎮圧のために必須である、とされてきた(Kato et al., Nature 2006)。各種RNAウイルスを深く検討すると、ウイルスごとの宿主応答は一元的に決まるものではなく、IFN誘導経路の多様性に応じてウイルスの免疫応答も多彩であると結論される。
|
Strategy for Future Research Activity |
MAVS依存性経路の重要性はウイルスごとに異なると推測される。MAVS経路の意義は急性感染のIFN応答にあるので、以下の実験を組む。多彩な抗ウイルス免疫応答の分子機構解明のためにIFNAR KOマウス背景でMAVSによって誘導される諸分子をgenechip、databaseから抽出する。これらからIRF-3/7依存性とIRF-3/7非依存性(無関係)に誘導される分子を拾ってloss-of-function, gain-of-function の実験を樹状細胞で行う。従来の提案、TICAM-1で誘導され、MAVSで誘導され難いエフェクター誘導の原因遺伝子の抽出も並行して行う。ウイルスによってエフェクターの種類別誘導にIRF-1, -3, -7 などの使い分けがあるとの傍証があり、この点も検討して行く。
|
Research Products
(20 results)
-
-
-
-
[Journal Article] Phosphoinositide 3-kinase<gamma> controls the intracellular localization of CpG to limit DNA-PKcs-dependent IL-10 production in macrophages.2012
Author(s)
Hazeki, K., Y. Kametani, H. Murakami, M. Uehara, K. Nigorokawa, S. Takasuga, T. Sasaki, M. Matsumoto, T. Seya, and O. Hazeki.
-
Journal Title
PLoS ONE.
Volume: 6(10)
Pages: e26836
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
[Journal Article] Will there be an HCV meeting in 2020?: Summary of the 17th International Meeting on Hepatitis C Virus and Related Viruses. (review)2011
Author(s)
Wakita, T., T. Suzuki, M. J. Evans, K. Shimotohno, K. Chayama, Y. Matsuura, M. Hijikata, K. Moriishi, T. Seya, N. Enomoto, K. Koike, N. Kato, T. Kanto, and H. Hotta.
-
Journal Title
Gastroenterology
Volume: 141
Pages: e1-5
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Natural killer cells recognize Friend retrovirus infected erythroid progenitor cells through NKG2D-RAE-1 interactions in vivo.2011
Author(s)
Ogawa, T., S. Tsuji-Kawahara, T. Yuasa, S. Kinoshita, T. Chikaishi, S. Takamura, H. Matsumura, T. Seya, T. Saga, and M. Miyazawa.
-
Journal Title
J. Virol.
Volume: 85
Pages: 5423-5435
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-