2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390132
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中塚 幹也 岡山大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (40273990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟屋 剛 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20151194)
上田 紀行 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (40211768)
小河 達之 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10346421)
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Keywords | 死後生殖 / 凍結保存 / 配偶子 / 受精卵 / 性腺 / 死後認知 / 癌 / 体外受精 |
Research Abstract |
本研究は、癌治療と生殖医療の進歩を背景に発生しているパートナーの死後、凍結保存された精子、卵子、受精卵を用いた生殖補助医療により懐胎・出産する「死後生殖」の問題を、社会調査を踏まえて、生命倫理、医事法、文化人類学の各視点さらには医療者や患者の視点などの複合的な視点から学際的に考察するものである。 死後生殖の背景にある配偶子・性腺の凍結保存技術に関して、パートナーのいない未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子を保存する例など、対象拡大の現状を調査すること、また、対象が拡大しつつある死後生殖の是非に関する日本人の現状を明らかにし、それに基づいて社会に情報発信を行い、さらには生命倫理政策形成に寄与する「政策提言を行う」ことを目的とする。 H23年度は、配偶子・性腺の凍結保存技術の普及に伴う倫理的問題に関して、論文や報道等の情報を収集し、世界的な動向を検討した。その成果の一部は、シリーズ生命倫理学第6巻「生殖医療」(丸善出版)の第5章「配偶子・受精卵・性腺 凍結保存」にまとめて執筆した。 また、配偶子・性腺の凍結保存技術に関する公開シンポジウム、公開セミナーを主催し、各分野の方々の死後生殖に関する意見聴取、議論を行った。この試みは新聞でも報道され、この問題の認識を図ることの一助となった。さらに、死後生殖を認めているイスラエルの生命倫理学者フランク・レービット氏(元イスラエル・ベングリオン大学講師、元国際生命倫理学会理事)をはじめ、国内外の各分野の専門家へのインタビューを行った。 予備調査として死後生殖を含め、配偶子・受精卵・性腺の凍結保存に伴う倫理的課題に関しての肯定感の調査を学生や保護者に対して施行した。また、日本産婦人科学会の登録施設1,157施設を対象として、国内医療施設の凍結保存技術利用の現状、当事者の死後の配偶子等の利用の有無、その施行の是非などに関しての調査を開始した。その結果の一部は、学会などで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内外の情報収集,海外も含め各分野の専門家のインタビューなどは予定通りに行った.予定していいた計画をさらに進めて,一般人も含めての公開セミナー,公開シンポジウムを行い各分野の専門家の講演の後に討論を行った点は計画以上に進んでいる.海外への聞き取り調査は日程の都合で行うことができなかったが,海外の専門家,特に,死後生殖を認めている国であるイスラエルから専門家を招へいをしての研究会を開催し、意見交換を行った.一般人を対象にした「死後生殖」の調査を開始する予定であったが,計画を変更し,その前段階として問題になる配偶子・受精卵・性腺の凍結保存の現状と死後生殖の施行の現状の全国の医療施設での調査を開始した.
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Strategy for Future Research Activity |
日本においても死後生殖が行われ,子どもが生まれている現実があるが,報道などもされていない事例に関してはその実態は不明である.当事者への取材を試みているが,インタビューは困難な状況である.現在,死後生殖を施行した経験のある医療施設への取材を試みている.また,全国の生殖医療施設に無記名の質問紙調査を開始している.
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Research Products
(4 results)