2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規開発の定型化アプローチを用いた救急診療技術の伝承とIT応用手法の実践的研究
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23390134
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
織田 順 東京医科大学, 医学部, 准教授 (60459500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 香里(鈴木香里) 東京医科大学, 医学部, 助教 (10366130)
上野 雅仁 東京医科大学, 医学部, 助教 (40600896)
相馬 孝博 公益財団法人日本心臓血圧研究振興会(臨床研究施設・研究部門), その他部局等, 副院長 (90262435)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / 救急医療 / 集中治療 / 医療連携 / 目標状態 / 標準治療 |
Research Abstract |
・研究代表者は新規に開発した、救急集中治療患者への標準化アプローチ形式「ABCD-INRFT型の定型化アプローチ」にそって大量の情報を蓄積した。分析は、傷病単位と、A~T項目毎単位の2通りの区分に対して行ったところ、いずれも興味深い結果を得た。 ・傷病単位の分析を開始するにあたり、まずは入院期間あるいは集中治療を要する期間が比較的短い急性薬物中毒、外傷の経過観察入院、アナフィラキシー症例は、救急領域では日常良く遭遇する症例でかつ、医療安全上重要な面を含んでいるため、これらを選択した。経験を積んだスタッフほど診療を進める際に傷病名にこだわっていないことが判明した。 ・項目別解析では、経験の浅いスタッフあるいは、成熟度の低いチームは、目標状態が共有できていないことが判明した。その中でも救命救急センターにおけるゴール設定が理解できていないこと、また理解できていても共有・統一できていないことがトラブルの元になることが判明した。これ判明したことは社会的・医療経済的にも意義が大きい。救命救急センターから一般病院・一般病床への移行がスムーズに行かない原因の一つが、移行を軸とした患者状態が共有できていないことであることが判ることにより、A-T別の目標状態を可視化する診療スタイルを浸透させることが重要であるということだからである。これは電子カルテ時代のフォーマットの提案にも役立つ。 ・救急集中治療より、内科総合診療を例に取った一般診療科の方が圧倒的に傷病名に頼るウエイトが大きい。傷病名に頼りすぎることは医療安全リスクが増す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・データ蓄積、データ解析とも当初の研究計画通りに順調に進んでいる。 ・診療録のみならず、口述・プレゼンテーションから得られる情報も解析対象に加えて進められていることより、decision-makingの見地からの解析が進むものと考えている。 ・学会等における発表回数は予定を超えて順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
・さらに当A~T定型化アプローチにおける各項目の経過の分析を進める。Aに注目して収集すると「気道管理」の詳細な診療技術が浮かび上がるし、B(気道管理)、C(循環管理)以降も同様である。病態のみならず、社会的なF(家族対応)、T(転院/転科/退院調整)を含めた各項とも、極めて興味深い解析結果が期待できる。 ・項目間の関係をさらに深く分析する。各項目は完全には独立していない。肺炎(I)のために酸素化が悪く(B)、人工呼吸を必要とするため挿管、期間が長くなると気管切開を要する(A)、という具合に、相互に影響し合うことが重要で、これをどこまで適切に把握、予測することが臨床能力の一つである。しばしば論じられる積極治療、消極治療の点から、さらに本人や家族の意向(F)と診療方針、という基本でありながら深い部分の解析を試みる。これは類型化可能で、これを示すことは学習者にとって非常に価値がある。 ・項目間で影響し合う因子の記述方法を提案する。相互関係が可視化されれば、今までと全く異なる方法で、上級医の思考過程が、研修医や経験の浅い若手医師に極めて伝えやすくなり、ひいては診療技術の改善につながることが期待される。 ・多職種コミュニケーションに関する解析を開始する。研究チームの救急外科系医師、内科総合診療系医師および、医療系の会話分析を専門とする社会学者により行う。異職種間の会話に関しては、承認・確認などの言い回しに代表されるカテゴライズ化は行われているものの、本研究の手法による解析は全く行われておらず、可視化された成果が期待される。
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] 救急連携パス2012
Author(s)
織田順ほか
Organizer
第13回日本クリニカルパス学会・学術集会
Place of Presentation
岡山
Year and Date
20121207-20121208
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