2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗体医薬品によるインフュージョン反応の発現メカニズム解析と予測系の構築
Project/Area Number |
23390144
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 部長 (50215571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 明子 国立医薬品食品衛生研究所, 生物薬品部, 室長 (50291117)
黒瀬 光一 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 室長 (30280754)
加藤 健 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (50501855)
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Keywords | 医薬品副作用 / 抗体医薬品 / ファーマコゲノミクス |
Research Abstract |
セツキシマブにより、インフュージョン(IF)反応を発現した、および発現しなかった患者臨床試料・情報の収集、及びこれを用いたIF反応に関連する遺伝子多型の探索を開始した。具体的には、抗体依存性細胞障害作用等の免疫細胞の活性化等に関与するFc受容体遺伝子(FCGR1A,FCGR2A,FCGR3A等)の多型解析を、収集したセツキシマブ投与患者ゲノムDNA32検体に対して行った。抗体結合の親和性低下が報告されている多型である、FCGR2Aの497A>G多型(H166R、HapMapにおける日本人頻度0.167)およびFCGR3Aの634G>T多型(V212F、HapMapにおける日本人頻度0.216)に関しては、解析の結果、多型頻度は同FCGR2A多型が0.172、同FCGR3A多型が0.375であった。一方、解析報告がないFCGR1Aに関しては、全6エクソンのシーケンシング系を確立し、遺伝子多型を検出した。その結果、exon 1の翻訳開始点から24塩基上流に12検体でTからCへの塩基置換がヘテロ接合でみられた。また、1検体に247C>T(S66L)の非同義置換が認められた。さらに、in vitroの機能解析により、FCGR2Aに見いだされた遺伝子多型818T>C(L273P)が、受容体機能に及ぼす影響について検討を行い、本多型が受容体の活性化を亢進する可能性を明らかにした。さらに、数種のIF反応を引き起こしやすいとされる抗体医薬品とヒト末梢血単核球を共培養し、培養上清に放出される複数のサイトカインを同時測定することにより、in vitroでのIF反応予測系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1)インフュージョン反応を発現しやすい品質特性を持つ抗体を予測しうる、簡便で安定なin vitro予測系を構築する、2)発現頻度が高いセツキシマブによるインフュージョン反応の、発現の個体差予測系を構築する、3)不明な点が多いインフュージョン反応の発現メカニズムを明らかにする、ことを目的とする。初年度である平成23年度は、臨床試料を目標の約1/3である32検体収集したこと、インフュージョン反応を発現しやすい品質特性を持つ抗体予測に利用しうる、簡便で安定なin vitro予測系を構築したこと、から研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
第2年度となる平成24年度は、患者臨床試料に関する前年度の収集・解析を継続すると共に、確立したヒト末梢血単核球を用いるインフュージョン反応のin vitro予測系を用いて、インフュージョン反応の発現に影響を与える抗体医薬品の品質特性について検討を行う。特にインフュージョン反応を起こした患者試料に関し、研究最終年度までに統計学的な解析に耐えうる数を確保できるよう尽力する。また、抗体医薬品の品質特性に加えて、個体差の発現解析のため、使用するヒト末梢血単核球に関し、各個人由来の検体数を増やす予定である。
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Research Products
(2 results)