2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の一塩基多型の解析と新たなインスリン分泌調節機構の解明
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23390146
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
村上 正巳 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30241871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角野 博之 群馬大学, 医学部, 講師 (10375579)
森村 匡志 群馬大学, 医学部, 助教 (20436306)
常川 勝彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30436307)
荻原 貴之 群馬大学, 医学部, 助教 (80361377)
奈良 誠人 群馬大学, 医学部, 助教 (80420165)
荒木 修 群馬大学, 医学部, 助教 (80589482)
木村 孝穂 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90396656)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 遺伝子 / 一塩基多型 / インスリン / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
地域住民を対象とした我々の研究から、細胞内局所で甲状腺ホルモンのT4をT3に変換して活性化する2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(D2)の遺伝子(DIO2)のThr92AlaのSNPがインスリン分泌能の低下に関与することが明らかとなった。今年度の研究において対象者に運動処方を行い、長期間の習慣的な運動の前後で耐糖能を比較し、DIO2のSNPの有無と運動による耐糖能改善効果の関連について検討した。その結果、DIO2のSNPを有すると運動による耐糖能改善効果が得られにくくなるという成績が得られ、DIO2のSNPが耐糖能の変化に関与する可能性を示唆するものと考えられた。 膵β細胞におけるインスリン分泌能にD2が関与している可能性を想定し、培養マウス膵β細胞(MIN-6)を用いて検討したところ、MIN-6細胞にD2が発現し、GLP-1によりインスリン分泌の増加とともにD2の発現が増加することが明らかとなった。今年度の研究において、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるMIN-6細胞における甲状腺ホルモン(T4)の代謝の解析を行った。今後、MIN-6細胞における1型、2型、3型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(D1、D2、D3)の発現とその調節機構の解明を行う予定である。 また、インスリン分泌能低下やインスリン抵抗性などの糖尿病の病態におけるD2の役割を個体レベルで解析することを目的として、D2ノックアウトマウスを用いて野生型マウスと比較検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域住民を対象とした我々の研究から、2型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(D2)の遺伝子(DIO2)のThr92AlaのSNPがインスリン分泌能の低下に関与することが明らかとなっていたが、今年度の研究において対象者に運動処方を行い、長期間の習慣的な運動の前後で耐糖能を比較し、DIO2のSNPの有無と運動による耐糖能改善効果の関連について検討した。その結果、DIO2のSNPを有すると運動による耐糖能改善効果が得られにくくなるという成績が得られ、DIO2のSNPが耐糖能の変化に関与する可能性が示唆された。本研究成果の臨床的意義は大きく、その発表に対して平成24年度日本甲状腺学会YIA賞が授与された。
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Strategy for Future Research Activity |
理化学研究所で開発された迅速遺伝子解析技術であるSmartAmp法は、血液などのサンプルから直接に30分という短時間で遺伝子多型を検出することができる個別化医療実現の一助となる画期的な方法である。すでに作成したDIO2のSNPのSmartAmp法のキットを用いて、引き続いて多数例の地域住民の健診受診者と糖尿病症例について検討し、臨床経過、病態、インスリン分泌能ならびにインスリン抵抗性について解析し、DIO2のSNPとの関連について検討する。 培養マウス膵β細胞(MIN-6)にD2が発現し、GLP-1によりインスリン分泌の増加とともに、D2の発現が増加することが示された。MIN-6細胞を用いて、D2の阻害剤であるiopanoic acidならびにsiRNAを用いてD2の酵素活性を阻害し、GLP-1などの糖尿病治療薬によるインスリン分泌をはじめとする膵β細胞機能の調節におけるD2の役割を検討する。さらにMIN-6細胞における他の甲状腺ホルモン脱ヨード酵素である1型ならびに3型甲状腺ホルモン脱ヨード酵素(D1、D3)の発現の解析を行う。以上の検討により、膵β細胞機能調節における甲状腺ホルモン代謝の役割を解明する。 膵β細胞におけるD2の生理的役割を個体レベルで解析することを目的として、D2ノックアウトマウスを用いて野生型マウスと比較検討する。野生型マウスとD2ノックアウトマウスのそれぞれに対して糖負荷ならびにGLP-1受容体作動薬をはじめとする薬物の投与を行い、血糖ならびにインスリン分泌に及ぼす影響を検討し、D2のインスリン分泌をはじめとする膵β細胞機能における役割を解明する。
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Research Products
(8 results)