2012 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン療法の副作用で併発するうつ病の発症機構の解明とコンパニオン診断
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23390149
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齋藤 邦明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80262765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00331869)
村上 由希 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (50580106)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 病態検査学 / トリプトファン / インターフェロン / IDO / コンパニオン診断 / サイトカイン / 抑うつ |
Research Abstract |
脳神経系におけるindoleamine 2,3-dioxygenase(IDO)の役割を解明するために、特異抗体を用いてマウス脳でのIDO免疫染色を行い、その細胞局在を明らかにし国際学術雑誌に報告した。さらに、マウスにハイドロダイナミクス法にてインターフェロンを遺伝し導入した結果、著明なIDO活性の亢進が見られ、強制水泳試験(FST)における無動時間の延長が認められ、うつ様傾向を示した。IDO阻害によりうつ様傾向の若干の改善が認められたが、詳細なメカニズムの検討が必要であった。また、インターフェロン(IFN)投与によりうつ症状を発症するC型肝炎患者において血清中のTrp代謝産物動態に変化が認められるかについて、関連6種のトリプトファン(Trp)-キヌレニン(Kyn)代謝産物の測定を行った。ヒト血清測定時のクロマトグラムで6種のTrp-Kyn代謝産物すべてでピークが確認でき、主な代謝産物の検出時間はKynが13分、Trpが27分、キヌレン酸が19分、3ヒドロキシキヌレニンが20.5分であった。複数のTrp代謝産物を組み合わせるインデックス化の例として、IDO活性化の指標とされるKyn/Trp比、Kyn代謝の神経毒性、保護作用を表す3HK/KA比について検討した。その結果、うつ群と非うつ群の比較は、IFN治療に伴って両インデックスともに増加するが、特にうつ群ではその増加量が大きかった。また、うつ群では治療中止後に治療開始前の水準まで戻った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスモデルでの解析に加え、インターフェロン治療により抑うつ状態を発症した群と発症しなかった群での解析も実施しており、当初の予定通り研究はおおむね順調に進展している。マウスモデルは、ハイドロダイナミクス法によりインターフェロンを過剰発現させたマウスの行動薬理学的解析により抑うつ状態が再現されている事が確認され、さらにIDO阻害による病態の改善傾向が認められた意義は大きい。さらに、ヒトC型肝炎患者にインターフェロンを投与した際に、抑うつ状態を発症した群と発症しなかった群のサンプルの収集とサンプルを用いた解析に必要な基礎検討も順調に推移している。ヒト代謝産物解析に必要な基礎検討結果は、国内学会ですでに発表しており、さらに関連した研究成果は、国際学術雑誌に昨年掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は概ね順調に推移しており、研究最終年度はうつ様症状の発症に関連して、マウスモデルを用いたIDO2免疫組織学的検索およびヒトC型肝炎患者のインターフェロン投与時におけるトリプトファン代謝産物を網羅的に解析し、うつ様症状とトリプトファン代謝の関連性を明らかにする。
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