2011 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスによる酸化損傷蛋白質を指標としたパーキンソン病リスク評価法の開発
Project/Area Number |
23390162
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
及川 伸二 三重大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10277006)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨本 秀和 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80324648)
村田 真理子 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10171141)
山嶋 哲盛 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60135077)
|
Keywords | パーキンソン病 / 黒質 / 神経細胞死 / 酸化ストレス / 活性酸素種 / プロテオミクス解析 / 酸化損傷タンパク質 |
Research Abstract |
パーキンソン病の発症年齢のピークは50歳代後半から60歳代と比較的高齢者に多く、主な症状として振戦(ふるえ)、固縮(筋肉のこわばり)、無動(動作が遅く少なくなる)、姿勢反射障害(倒れやすい)などが認められる。パーキンソン病の発症には黒質のドーパミン産生神経の神経細胞死が深く関与していることが知られている。この神経細胞には鉄イオンの含有量が多く活性酸素が発生し易いため、その病態に酸化ストレスが密接に関与していると考えられる。しかし、黒質の神経細胞死に関しては未だ不明な点が多く、本疾患の発症リスク評価法や予防法も確立されていない。本研究では、パーキンソン病患者や高度に酸化ストレスを暴露したサルの黒質を用いて、神経細胞の変性と壊死における酸化ストレスの役割を詳細に解明し、本疾患の発症メカニズムを分子レベルで明らかにする。本年度は、パーキンソン病患者の血清のプロテオミクス解析を行うために、血清からアルブミン等を除去精製し一次元、二次元電気泳動を行うための技術を確立した。その結果、高分子領域においても分離能が高い電気泳動像が得られ、クマシーブリリアントブルー(CBB)染色レベルではあるが数百個のスポットが検出できた。また、酸化ストレスを暴露したサルの黒質を用い、酸化損傷タンパク質の損傷部位の詳細な解明を行っている。その結果、パーキンソン病をはじめ様々な神経変性疾患モデルにおいてその不活性化が認められているアコニターゼ(aconitate hydratase)が酸化損傷されていることを認め、134番目のアミノ酸に損傷が起きている可能性が示唆された。現在、質量分析計(LC-TOF/TOF-MS)を用いて詳細な解明を行っている。免疫組織染色のため酸化ストレス暴露サル黒質を摘出しホルマリン固定を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パーキンソン病患者からの脳脊髄液の採取は患者に及ぼす負担が大きいため、まず患者への負担が比較的少ない血液を用いて研究を開始した。血液から血清を分離後、血清アルブミンなどを除去し、プロテオミクス解析を行っている。また、酸化ストレス暴露サルの黒質におけるプロテオミクス解析はほぼ予定通り行い、免疫組織染色の準備も整いつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、血清と血漿でどちらがバイオマーカーの同定に適しているかを確認し、健常人と比較することにおいて、バイオマーカーの候補を探索する。また、酸化ストレス暴露サルの黒質におけるプロテオミクス解析を引き続き行い、神経細胞死の分子メカニズムを明らかにしていく。
|
Research Products
(31 results)